【鬼滅の刃】君がため《短編集》2

我妻善逸『馬鹿』 ページ17

貴方side


「馬鹿…」



そう一言吐いて彼の頬に平手打ちを入れる



頬の赤くなった彼は一言、



「ごめん…」



そう一言呟いた。



本当に有り得ない。



どうして…



「どうして来たりなんかしたのよ！！」




瞳から溢れる涙が止まらない。




「私なんか忘れて…。別の子と…幸せになってくれれば…私はそれで良かったのに！！」




「ごめん…俺は…Aちゃんが…好きだから…。」




最低…馬鹿…本当に…。どうして…。




「もう私は昔の私じゃないのに…。

私はもう…人ではなくなってしまったのに！！！」




そう…。私は鬼舞辻無惨の血を受け、鬼になってしまった



運良く記憶も維持し、鬼舞辻無惨の呪縛からは逃れられた。



だけど…鬼であることに変わりはない。




私は善逸君が、…大好きな人が幸せだったら…それで良かったのに…。




「Aちゃんを忘れろだなんて無理だよ…。


他の子なんて見えない…。だって…俺は、Aちゃんが…大好きなんだ…。


…例え君が鬼だとしても…。その気持ちが揺らいだ事は無いよ。


俺は…Aちゃんとずっと一緒に居たいんだ。」




そう話す彼の目は私を真っ直ぐに捉えていた




「でも…」




「俺…少しは強くなったよ…？鬼殺隊ってのに入って…。

…君を守れるくらい強くなった…」





やっぱり善逸君は馬鹿…。大馬鹿…。





「本当に…馬鹿じゃないの…。鬼殺隊に入って…鬼を守るなんて…本当に馬鹿…。


私だって本当は…善逸君が大好き…ずっと一緒に居たいよ…だけど…やっぱり貴方は人で、私は鬼。


もしかしたら貴方を知らない内に…食べちゃうかも…しれない…。そんなの嫌だよ。


私は…好きな人が幸せだったらそれでいいの…！


善逸君の幸せが私の幸せだから…。


もしも善逸君が別の人と幸せになっても…私はずっと善逸君が…大好き…。」




chu…




「ご、ごめん…。あんまりにも君が可愛かったから…。


でも…俺が1番幸せなのは…Aちゃんといる時だけだよ。


Aちゃんがもし俺を食べちゃいそうになったら絶対に止めてみせる。


Aちゃんを人喰い鬼になんかさせないよ。


だから…これからもずっと…傍に居てくれませんか？


俺と…結婚して下さい！！」




狡いよ。そんなに言われたら…


今まで抑えていた感情が溢れ出し、善逸君に抱き着いた



「…私こそ…一緒に居てください…。

善逸君…大好き…！！」

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