組合の職人 ページ21
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「今頃、話し合いしている頃かなあ」
ベッドの上でごろごろする私。
こんなのんびりした時間を過ごすのは何時振りだろうか。
と云うか、初期の設定では面倒臭がりだったはずの私が今では立派な社畜。
素晴しい成長だね。嬉しくはないけど。
「君ってそういうタイプの女性だったのかい?意外なんだけど」
ダラダラと過ごす私の姿に、何処となく呆れながら部屋に入ってきたのは組合の職人、マーク・トウェイン。
「素の私が此れですよ。こんなに寝心地の良いベッドを目前に気を張り詰めているなんて勿体無いでしょう?それに景色も良い」
窓の外を指さしそう云うと「確かにそうだな」と笑うトウェイン。
でもご免、私見えてないんだよね。
「そう云えば如何されたんです?」
「ん?ああ、食事を持って来たのさ。序でなら一緒に食べようかと思って」
「いいですね」
流石、金持ちなだけあって料理も美味しい。
あの日以来、忙しいのか団長様もやって来ることがなく清々しい日々を過ごす私としては、仲間たちが身を粉にして街を守っている状況は中々心が痛いもの。
まあ、太宰の手にあれが渡ったのならうまくいくだろう。
黙々と料理を口に運ぶ私の顔を、じっと見る視線に気づき視線を上げる。
「何です?」
「いや、本当に君って美味しそうに食べるよなと思ってね。作戦参謀も云ってたよ」
「美味しいものを美味しそうに食べないのは、調理した方にも食材にも失礼でしょう?」
「・・・恐れ入ったね。日本人の食に対する精神を目の当たりにした気分だよ」
はあ、と感心したようにそう云ったトウェインに、私も普通に過ごしていたら食に対して無関心だったろうね。
人形だった日々は楽だったけど、娯楽が少なすぎた。
「君さ。本当に組合に来るつもりないのかい?」
「ないですね」
「即答・・・連れないねえ。君が仲間ならきっと楽しい旅になるだろうに」
大げさに残念だと肩を落とす青年に「私はマフィアですからねえ」とそう云えば「マフィアが無くなれば来るかい?」と明るく問われる。
組合怖いな。
「マフィアは無くならないですよ」
「ま、試練が多い方が男は燃えるっていうしね!団長もまだ諦めてないみたいだから覚悟した方がいい」
「マジか」
「マジなんだな、これが」
ケラケラ笑うトウェインに頭を抑える私。
嫌な事実を知ってしまった気がする。
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汐里(プロフ) - Re-VI@TANさん» コメントありがとうございます!すいません、完全にミスですね。恥ずかしい。後程修正致します!作品を気に入って頂けて光栄です!一度陥ると中々抜け出せないのが難儀ですよね…応援有難う御座います!頑張ります! (2018年4月8日 9時) (レス) id: 77540e590f (このIDを非表示/違反報告)
Re-VI@TAN(プロフ) - ブランクではなくスランプ、では?私もよくスランプに陥りますねwでもそれは真剣に考えて作ってるからそこだと思います!先日この作品を見つけ、とても面白くて1日の半分ほどかけて読み続けてました。これからも頑張ってください!長々と失礼しましたorz (2018年4月8日 1時) (レス) id: 1436669b3d (このIDを非表示/違反報告)
汐里(プロフ) - 八重桜 蜂さん» 八重桜様、コメントありがとうございます!そう言って頂けて凄く嬉しいです!またぼちぼち更新していくので、楽しんで頂ければと思います。それでは失礼いたします! (2018年2月27日 23時) (レス) id: 77540e590f (このIDを非表示/違反報告)
八重桜 蜂(プロフ) - 続編とても楽しみにしてましたー!!1のときからずっと見てて、素晴らしい作品だと感心してました()応援してます!!! (2018年2月27日 23時) (レス) id: de911b9147 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:汐里 | 作成日時:2018年2月27日 22時