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ジェミンからのゴリ押しにより、
久しぶりに入った昼間のシフト。
春の訪れを感じさせるぽかぽかとした陽気が
夜とはまた違う眠気を誘ってくる。
あくびを噛み殺しながら
スナック菓子の品出しをしていると、
「Aちゃん」
ふいに横から顔を覗き込まれ、名前を呼ばれる。
反射的に顔を声がした方に向けると、
鼻と鼻がついてしまいそうなほどに近い距離に
ジェノさんのその端正な顔があった。
『っ、ジェ、ジェノさん…お久しぶりです』
思いのほか近かった顔に高鳴る心臓を
なんとか鎮めて努めて冷静に挨拶をする。
「久しぶり、やっと会えた」
切長の目をこれでもかと細くした三日月スマイルは
先ほど無理矢理鎮めたばかりの私の心臓を
再び五月蝿くさせるには十分なものだった。
急なイケメンの摂取は心臓に悪い…
急すぎる胸キュンイベントの発生に
今にも心臓が飛び出そうな
私に追い討ちをかけるように
「あれ…髪、染めた？」
私の髪を一束掬って首を傾げてくるジェノさん。
相次ぐ胸キュンセリフの連続に、
今度こそほんとに心臓が飛び出そうだ…
『先週の土曜日に…
昼間のシフトが減って暇な時間が増えたので…』
シフトが減って暇な時間が増えたのも
勿論嘘ではないが髪を染めた一番の理由は
来週、チソンのサイン会があるから
というオタク全開の理由。
こんなオタク脳全開の理由を初対面同然のイケメンに
正直に曝け出すことなどできるわけもなく
先程の当たり障りのない理由を話すに至ったのだ。
「前の色も好きだったけど、こっちも似合ってる」
本人に自覚があるのかは分からないが、
とてつもない破壊力を誇るそのキラースマイルで
微笑みかけてくるジェノさん。
ジェノさんの笑顔の攻撃力の高さに悶えていると、
後ろから聞き慣れた声が聞こえてくる。
「何してるの？」
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作者名：NINI | 作成日時：2021年2月13日 22時
