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「なんでダメなんですか？」
『ですから、身分証明書の提示が無いと、「さっきのおじさんには確認せず売ってたじゃないですか」
『いや、それは…』
「客を差別しているんですか？」
『差別だなんて…いや、ただお客様が幼く見えるといいますか、その…なんというか…』
「はぁ？じゃあ逆に、
僕が高校生だっていう証拠はあるんですか？」
『確かにお客様が高校生だと言う証拠はありません。
ですが、規則上お客様が成人していると言う証拠を
ご提示いただけない限りはこちらとしても商品を提
供することはできません。』
ヒートアップしてきた彼を
これ以上興奮させないようにと、
充分に言葉を選んで伝えたつもりだったが
どうやらその努力も無駄だったようだ。
私の言葉を聞くや否や
今でも充分に真っ赤だった顔を
さらに真っ赤にして私に向かって手を振り上げる彼。
振り上げられた手が
スローモーションのように私を目掛けて降りてくる。
反射的に目をパッと瞑ったが、
1秒経っても、2秒経っても何も起こらない。
恐る恐る薄目を開けると、そこには怖い顔をして
高校生の腕を掴むロンジュンがいた。
「お客様、暴力行為はお辞めください。」
「は、離せよ！」
女の私になら勝てると思って
強気な態度で当たってきていたのだろう。
男のロンジュンが出てきた途端に引け腰になる2人。
こういうとこがまだまだガキなんだよ
なんて心の中で毒づいてみたりする。
死んでも口には絶対出さないけどね。
「なんなんですか！？」
「お客様、暴力は犯罪ですよ？」
貼り付けたような笑みを浮かべながら
さらに彼の腕を掴む力を強めていくロンジュン。
強まる力に" 自称 "成人済みの彼の顔が歪んでいく。
ロンジュンのブラックなオーラを感じ取ったのか、
これ以上抵抗しても無駄だと判断したのか、
「も、もういこうぜ」
「か、買わなきゃいいんだろ、買わなきゃ！」
「こんな店2度と来てやんねぇからな」
と、毒づきながら足早に店を出て行った。
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作者名：NINI | 作成日時：2021年2月13日 22時
