Don't let go, can't let go． 2 (ページ5)

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ご飯をいただいて、ふたりでゆったりしてると、
気づいた時には時計は21時を指していた。

大｢帰る？送ってくで｣

そう言って、ふたり出る準備をする。

帰りたくないなぁ、なんて考えてしまうのは、きっとここの居心地の良さのせい。
寄り添うだけの西畑くんが、私を素で居させてくれる。
踏み込まないし、踏み込ませない。
そんな意思を、感じる。

踏み込んだら、踏み込ませてもらったら、
ずぶずぶに溶けて混ざってしまいそう。

ちょっとだけ、そうなってみたい…
なんて思う自分をひた隠して、彼の部屋を後にした。

私が助手席に乗ると、彼は車を出した。

大｢今からちょっと叱るけど｣

彼はちら、とこちらに目線をよこし口を開いた。

大｢男ん家は気安くあがったらあかんで。

あと、寝顔晒すんもあかん｣

そうだ、寝起きで何も考えれていなかったけど、寝顔、見られてるんだ。
そう思うと羞恥で顔が熱くなる。

大｢俺やからよかったけど、ほんとに信用してる人の前でしか、いや、それもあれやけど…

とにかく、あんたはもっと警戒心持たなあかんのよ｣

わかった？と続きそうなその言葉に、
顔は熱いまま、少し、笑ってしまう。
何笑ってんねやってまた叱られちゃうかもだけど、
この保護者感が、私の目には面白く映ってしまった。

大｢何笑ってんねや、わかっとる？｣

『はい、もちろん
信用できる人の前だけ、ですね？』

大｢わかってるんやったらええ｣

『じゃあこれからも、西畑くんの前では大丈夫ですね？』

大｢！あんたなぁ…｣

『へへ…』

遠回しに、というか遠回しでもないような気もするけれど。
西畑くんに、信用してます、のアピール。

何故、こんなに信用出来ているのかも分からない。
だけど、なんでか、彼の隣はひどく安心するし、
彼の家はとても居心地がよかったーーー。

私は、あの夜と同じ場所で降ろしてもらって。
彼はあの夜と同じように見送ってくれて。

私は、あの夜と同じようにメッセージを送る。

A今日はお世話になりました。本当にありがとうございました。

きっとまた、既読も1週間くらい付かないんだろうな、なんて思って。
私はいつものルーティンをすませて、眠りについた。

A今日はお世話になりました。本当にありがとうございました。
既読
大吾顔見れてよかったわ
おやすみ