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結局。
みっちーとのご飯に集中することはできないまま、
別れを告げて。
送るって言ってくれる彼を制して足を進める。
彼と、
手を繋いで歩くはずだった帰り道をひとり歩く。
あの人に、会いたい。
だけど。
会えない。
別れを告げたのは、私だから。
『……今日は、ひとりじゃ、いたくないなーーーー』
自然と漏れたその言葉のままに、私は翻る。
その足で、大切な彼の元へ。
道中でお酒を買って。
きっと彼はいない。
いない。
いなくてもいい。
むしろ、いないでほしいーーーーー。
そう願いながら彼の家へ。
ピーンポーン
鳴らすインターホンに、返事は無い。
やっぱり、いない。
それが、嬉しいけれど寂しくて。
｢A？｣
呼ばれた名前に振り向けば。
会いたくて、会いたくなかった彼が立っていた。
だって今日の私は、最低ーーーーーー。
謙｢どうしたん？珍しいやん｣
謙杜のその声色はいつもと分からなくて、安心する。
『…出張飲みかーい！みたいな？』
空元気が透けて見えるそのテンション。
我ながら隠せないな、なんて思って少し俯く。
謙｢…じゃ、上がってき？｣
それに気づいたであろう彼は、私を誘って。
私の手から重いお酒の缶たちをすくい上げる。
彼はこの3ヶ月間幼馴染だった。
…あの日々は、きっと、彼の若気の至りみたいなもの、だと思う。
彼が私のことが好きーーーなんてことは、
もう、ない。
私のことは、もう過去でしょ？
謙杜ーーー。
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謙｢…そんな飲んで大丈夫なん？｣
『んー？大丈夫ー』
他愛のない話をしながらそろそろ1時間が経つ。
私は早くも4本の缶を空け、5本目に手を伸ばす。
謙杜はまだ2本目。
いつもだったらきっと私も謙杜と同じくらいだろう。
でも。
…今日は、今日だけは、溺れたいーーーー。
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謙｢…なあ、ほんまに大丈夫？｣
『…大丈夫だってー』
謙｢A飲みすぎたら記憶飛ばすやんかー｣
『…………バレてる…』
謙｢そりゃーな？｣
酔いたい。
記憶なんて飛ばして、
なにもなかった頃に戻りたいーー。
そう考えて、自分の最低さに笑ってしまう。
情けない……。
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･
謙｢もうやめとけばー？｣
『らいじょうぶー…』
謙｢はいはい、没収ー｣
『ああーー……』
『わたしね、さいてーなんだよ
やさしくされるかちない……』
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作者名：SOLa | 作成日時：2023年4月16日 9時
