Don't let go, can't let go． 2 (ページ33)

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『…もう、ここには来れません……

付き合いたい人が、いるんです』

そう告げて、彼の反応を待つ。
短くも長いその時間、私は何故かとても緊張していた。
どくんどくんと心臓と一緒に手まで震えるほどに。

大｢……そう、なんや｣

その声は酷く寂しそうだったのに。

大｢おめでとう、良かったやんかぁ

応援するで！｣

次の一声は明るくて、その違いにぱっと彼の方を見やる。
その表情は、本当に私を祝っているように
きらきらの笑顔で。

ああ、さっきの声は私の勘違いだったんだなぁ、なんて思った。きっと驚いただけなんだろう、と。

気付けば私もつられて笑顔になっていた。

大｢せや、お祝いにシャンパン開けたろー！｣

彼は楽しそうにそう言って、
ボトルとグラスを取りに行く。
その足取りも軽くて、言ってよかったとほっとした私。

そして、浮かれてしまった。

『えへへへへ、だからぁ、可愛くってぇえ』

大｢はいはい、それ6回目やで｣

『えぇーーー……？？』

大｢……好いた男の話やろ？
もうええよー聞き飽きたって｣

『むーーー…
好きって言うか、付き合おうって決めたんですよぉー』

大｢はいはい｣

『ほんとは会えなくなるの寂しいんですからねぇ？』

大｢……え？｣

『んふふふふっ、』

大｢……っ！なに！｣

『んーーー？なにって、最後のぎゅーーー？？』

大｢…………｣

『これで最後っ！へへ』

大｢……｣

『…………？』

大｢……もう、なんなんあんた…

……こんなん、しゃーないで…？｣

……
…………
………………

『…いたい…』

ぐわんぐわんする頭を押さえながら、目が覚める。
ひどい頭痛はきっと昨夜の飲みすぎによるものだろう。
…目が覚める、ということは、眠っていた…？
昨夜の記憶も曖昧だ。
彼にあのことを伝えたこと以降は、
彼に何を話して、何を聞いたのか等、
全然と言っていいほど思い出せない。

痛む頭のまま身体を起こし、
かけられた掛布団をはぐれば、
見覚えのないオーバーサイズのトレーナーを身にまとっている私。

『え！？』

思考が停止する。

ガチャ、と開くドアの向こうには、この部屋の主。

大｢あ、起きたぁ？おはよう｣

とりあえずご飯と薬持ってきたから、と彼は言う。
ありがとうございます、と伝えると、
そのまま彼は部屋を後にする。

……昨夜、何があったの……？