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ピーンポーン
突然鳴ったインターホンにびくっと肩が跳ねる。
時計は既に22時を過ぎていて。
こんな時間に、誰ーー？
……誰かと思いつつも、思い浮かぶのは1人だけで。
今日は用事あるって言ったのに、どうしたんだろーーー
そんなことを思いながらディスプレイを覗く。
通話ボタンを押して、はい、といえば、
ぎこちなくAちゃんかわいー、と言うものだから、
私はいつも通り解錠ボタンを押した。
『どうしたの？』
玄関で立ち止まった謙杜に私はそう問う。
用事があると断ったのに、
彼がこうして訪ねてくるなんて、
よっぽどのことがあったのではないか、
と思わざるを得ない。
謙｢…飲み会の返事が変やったからさ｣
なんかちょっと心配なってもーて…
と彼は申し訳なさそうに口にした。
拾い上げるような視線に捉えられる。
謙｢なんかあったんちゃうかって｣
彼の目線は本当に心配している人のそれで。
なにもない、うん。なにもなかった。
だって謙杜に言うようなことじゃ、ない、よねーーー？
大吾くんとのことも、みっちーとのことも……。
『なにもないよ？』
………少し、目が泳いだ、と思う。
なにもない、なんて言い聞かせても、ダメで。
謙｢……うそ｣
『え…』
謙｢みっちーと会ってるなんて、知らんかったし｣
みっちー。
その名前に勝手に反応する身体が嫌になる。
それでも熱は顔に集まってしまう。
まずい、とは思うものの、頬に集まる熱は冷めない。
謙｢用事って、みっちーやったんやな｣
彼はふっと自嘲的な笑みを浮かべた。
その笑みは悲しくて。
私がそんな顔をさせている、と思うと苦しくなる。
違うよ、と言おうと口を開こうとして、
彼に先を越されてしまう。
謙｢……付き合ってるん？｣
『…ち、がうよ』
謙｢……へぇ。彼氏やないんや？｣
舐めるように私を下から見た
彼の指がゆっくりと私の方へと伸びる。
謙｢……こんな｣
すり、と彼の指先が首筋をなぞって。
謙｢こんな、
キスマなんか付けて、
俺に、嘘つくんやな…？｣
とん、と
ごく自然な動作で壁に押さえつけられる。
私の両手は、頭の上で彼の片手によって壁に留められて。
それでも、あんまり危機感を抱かないのは、
きっと、謙杜が、
酷いことするわけないって思っているからーーーー。
『……謙杜？』
謙｢彼氏やないならさ、
俺でもええやろ…？｣
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作者名：SOLa | 作成日時：2023年4月16日 9時
