12 ページ15
･
大｢っ、なん、なんこれ……｣
動揺を隠さない彼は珍しくて、
わたしは思わずそっちを向いて目を開いた。
目に飛び込んで来たのは、
見たことないくらい動揺で目が揺らいでいる西畑くん。
揺らいでいるのにも関わらず、
その瞳はわたしを、わたしだけを、捉えている気がしてならない。
大｢……きっついわ、ほんま…｣
西畑くんは、わたしの方へと歩を進める。
彼は心配そうにしながら、どこか辛そうに傍へと寄って。
どくん、
と大きく鳴る心臓は、
彼に抱きついて口付けを交わしたい衝動を駆け巡らせる。
西畑くんのこと、人として好きなだけなのにー
そんな衝動に駆られそうになる自分を律しようとするものの、身体は言うことをきかない。
する、と意思に反して伸びた指先が、
彼の首に絡もうと、彼を引き寄せようと動く。
苦しくて死んでしまいそうなこの状態をどうにかするためには、そうするしかない、と感じているわたし。
それでも、
だめ、近づかないで、
と願っても遅く。
わたしの指先は彼の首を絡み、引き寄せる。
その行動に、表情ひとつ動かさなかった西畑くんに
唇を寄せる。
唇が重なるーー、その瞬間。
大｢…後悔せぇへん？｣
彼はそんなことを口にした。
後悔……？
そんなの、
するに決まってる。
ちゅ、と可愛らしい音を立てて軽いキス。
動いたのは、わたし。
『……する、』
後悔。
間違いなく、する。
なんなら、もうしてる。
キス。
演技以外ではしない特別な意味を持つそれを、
自分からすることなんて、初めてだった。
大｢、しゃーなし、やんな……？｣
彼がそう呟くが早いか、
わたしは再度彼に唇を寄せていた。
それは、決して嫌ではなかった。
もっともっと、と思う気持ちが、たしかにあった。
その口付けは長く、徐々にいやらしい音を立てていく。
唇を舌でなぞられては、
ぞくぞくする背筋がそれの気持ちよさを語る。
心臓のうるささや痛みなど気にならないほど
その行為に夢中になる。
息継ぎのために、少し唇を開ければ、
彼の舌がわたしの口内を探るように動く。
『………！』
口の中に彼の舌ではない小さな異物感を覚えた。
彼はそれを飲み下させようと巧みに舌を動かて、
ごく、と彼の思いのままわたしはそれを飲み下した。
大｢…っはぁ、は、きっついわ、これ…｣
彼は唇を離して少し笑ったかと思えばわたしに、
ちゅ、と可愛らしい音を立てて軽いキスを落とした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 358人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
SOLa(プロフ) - 彼岸さん» 大変お待たせしてしまい申し訳ありません！そう言っていただけて嬉しいです。ありがとうございます♡ゆっくりにはなりますが、更新していきますのでこれからもこの作品をぜひよろしくお願いします。 (8月28日 12時) (
レス) id: e6729af356 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - 待ってました!!更新ありがとうございます!!(՞ .ˬ.՞)" (8月27日 7時) (レス) @page23 id: 95f36b5815 (このIDを非表示/違反報告)
SOLa(プロフ) - seiさん» そう言っていただけて有難いです！意外とお待ちいただけてるみたいでとても嬉しいです。次話更新までお待ちいただけると幸いです♡ (6月2日 20時) (レス) id: e6729af356 (このIDを非表示/違反報告)
sei(プロフ) - 気長に待ってるので、是非続きを...！笑 (6月2日 1時) (レス) @page20 id: 2880584564 (このIDを非表示/違反報告)
SOLa(プロフ) - 彩さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！励みになります♡なるべく早く戻ってきますので、次話更新までお待ちいただければ幸いです！ (6月1日 12時) (レス) id: e6729af356 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：SOLa | 作成日時：2023年4月16日 1時
