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謙｢俺しかおらんって…そんなことないやろ｣
謙｢俺も酒飲んでんで｣
謙｢それでもええって…他のメンバーには電話したん？｣
謙｢んー…そうなんや。…一緒に飲んどる子がおるんやけどさ、一緒でもええ？ほたって帰れへんのよ｣
謙｢そ、A。先月紹介した幼馴染｣
謙｢そか、わかったわ｣
謙社は、すっと私へ目を向けた。
謙｢なぁA。今から一緒にみっちーと大橋くん迎えに行かん？｣
『え、う、うん』
嫌って言える雰囲気じゃないのを肌で感じていた私は、承諾してしまう。
でももうメイク落としちゃった、とか気づいても既に遅くて。
謙｢うん、ええって。今から向かうわ、それじゃ｣
そう言って彼は通話を切った。
謙｢…巻き込んでごめんな。俺が離れとうないだけやのに｣
『いや、いいよ。夜風に当たれば酔いも覚めるだろうし…。その、道枝くんと…大橋くん、大丈夫？』
大橋くんの名前を口にするのは一瞬躊躇したけれど、心配が勝ってしまう。
彼は酒豪で有名で、謙社からも大橋くんは酒豪でいくら飲んでも酔わないって聞いていたから。
謙｢みっちーは大丈夫そうやったけど、問題は大橋くんやな｣
大橋くんが潰れるなんて想像できひん、と心底驚いて心配している声色。
そこにはさっきの甘さや熱っぽさは一切なく、それが少し、寂しいなんてわがままだよね。
ごめんね――。
私のマンションを出て、夜風に当たりながらふたりの元へ。
夜風は酔って温まった身体をゆっくりと、しかし確実にさましていく。
その間、謙社は大橋くん大丈夫やろか、としきりに声に出しながら歩くスピードを私に合わせてくれていた。
駿｢長尾！ごめんな｣
謙｢みっちー！大橋くんも！ええよええよ｣
もうすぐ着く、とメッセージを謙社が送っていたからか、お店の前まで出てきてくれていた。
道枝くんの肩にべろべろに酔った大橋くんがもたれかかっている状態で、私も謙社も驚いたと思う。
駿｢あ、こないだぶりですね。すいません、呼び出しちゃって｣
『いえ！…大変っぽいですね』
いやぁ、と苦笑いをした道枝くんは、肩に寄りかかってる大橋くんに目を向けた。そこには大橋くんに声をかける謙社がいる。
謙｢大橋くーん？？｣
和｢んー…はぇ？｣
謙｢だめやこれ、こんな大橋くん見たことないわ｣
大橋くんを家まで送ろう、という流れになり、みんなでタクシーに乗った。
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作者名：SOLa | 作成日時：2023年3月6日 23時
