Don't let go, can't let go． (ページ43)

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着いたのは、近くのショッピングセンター。

ここまで来れば大丈夫やんな、と彼はあっさりと手を離す。
…少し名残惜しい気持ちになったのは、きっと気のせいだ。

そこから、色んなお店を回って、悩みに悩んで、
決まったのはお花のピアス。
道枝くんも満足そうにしてくれているから、
良かったと安心する。
ああだこうだ言いながらのそのプレゼント選びは
なんだかんだとっても楽しくて、あっという間で。

気づけば、時刻は16時を回っていた。

駿｢お礼と休憩がてら、カフェとか寄らへん？｣

『え、いいよいいよ！』

駿｢俺が疲れてしもうてん。良ければ付き合ってくれへんかな｣

彼は耳に髪をかける仕草をしながら、にこっと笑った。
道枝くんの優しい言い回しで、路地裏のこじんまりとした喫茶店に入る。

テーブル席に向かい合わせで座る。
店員さんがメニューを持ってきてくださって、
そこには美味しそうな名前がずらーっと並んでいた。

中でも、このお店イチオシであろう
パンケーキとシフォンケーキの写真が載っていて、
それがとっても美味しそうだった。

ケーキ系好きなのに、インドアだから、こういう喫茶店やカフェはなかなか来ない私。
飲みものだけ、のつもりだったのに、
ちょっと食べたいな、なんて思っていると。

駿｢…ケーキ、食べる？｣

『え？』

私の心を読んだかのように、彼はそう告げた。

駿｢いや、食べたそうにしてはったからさ、
俺も美味しそうやなって思おたし｣

『え！？いいの？？』

勢い良く返事してしまう。
これだと私が食いしん坊みたいじゃない？なんて思っても、彼は笑っていて。

駿｢ぜんっぜんええで。一緒食べよか｣

なんて、優しく言ってくれる。
私は彼の優しさに甘えて、ケーキも一緒にいただくことにした。