Don't let go, can't let go． (ページ42)

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大橋くんと楽しいご飯会をしてから、1週間。

道枝くんと休みが合い、プレゼントを買いに行くことに。
誰あてか聞けば、お姉さんらしい。
お姉さんへのプレゼントを、貴重であろう休みを潰してまでわざわざ買いに行くその姿勢がとても道枝くんっぽくて、頬が緩んだ。

待ち合わせは13時に駅前。
こんなに人がごった返してるこの駅前で、無事合流できるのかってのはちょっと不安だった。

けど、それでも、一際目を引く存在が前方を通り抜けて、気づけてしまった。

彼は帽子を深く被り、マスク、メガネまでしているのに、気付いた自分に驚く。
彼の方は私に気付かず、通り過ぎようとしていた。

『みちえ…』

名前を呼んで呼び止めようとしたものの、この人の多さだ。もし、バレてしまえば大変なことになる。
ただでさえ、道枝って苗字は中々聞かないから。

私は道枝くんを追いかける。
当の道枝くんは、周りをきょろきょろと見渡して私を探してくれているようだった。

人混みに揉まれながら、道枝くんのすぐ近くまで来れた。
どうしよう、とか考える前に、ぱし、と道枝くんの手を取っていた私。
これこそ、見つかったらマズいんじゃ、とは手を取った後に思ってしまって。
道枝くんはぱっと私の方を振り向いた。

駿｢Aさんっ！｣

私の顔を見て、ぱぁあっとあからさまに喜ぶ彼が、とても可愛くて。

駿｢思ってたより人が多くて驚いちゃいました。
見つけていただいてありがとうございます！｣

にこにことそんなふうに言われてしまえば、考えていたことなんて吹き飛んでしまった。

『敬語？』

駿｢あ。
……もう、絶対今日で敬語抜いてみせたるよ｣

『あ、誤魔化した？』

駿｢ええやろ、ほら、行こや｣

『わ…』

手は、すっと繋ぎ直されてしまう。

駿｢こん人混みん中だけ、我慢してな？｣

彼はそう言って、私の手を引いて歩き出す。

逆に堂々としてた方がバレんかったりするんやでー、なんて言いながら、歩くスピードは私に合わせてくれる。
道枝くんが、そんな行動をとるとは思っていなかった私は、その行動にどぎまぎしながら、彼に手を引かれ歩いた。