Side 大橋和也 あの日 2 ページ35
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｢あー、こんにちは？｣
俺らしくない、静かな挨拶をする。
明らかに動揺している俺。
素っ気なさげになったその声が、
彼女にとって悪い印象にならないことを願う。
？｢こ、こんにちは…｣
彼女は怖気付いているかのように、少し言いどもった。
素っ気なさが伝わったのかも知れんとちょっとへこむ。
俺は、動揺を隠して、視線を謙社に戻して口を開いた。
｢俺、今から謙社ん部屋行くとこやねん、謙社も戻るところやろ？｣
出来れば乗っていきたいーという意思表示をする。
2人がどんな関係かは知らんけど、なんか2人にはさせたくないってわがまま。
長尾｢そうやけど、一緒乗ってきます？｣
｢ええん？｣
長尾｢ええですよ！｣
謙杜は思っていたよりもさらっと了承し、
俺はエレベーターに乗り込んだ。
俺は、謙杜と彼女の関係を知らなあかん。
知っていないと、動けん。
もっと、彼女のこと、知りたい。
それが、許されるか許されないかを、聞かなあかん。
｢謙社がメンバー呼び出すなんて珍しいやんなぁ。みぃんな、謙社に彼女でも出来たんちゃうかって裏で騒ぎよったんよ？｣
騒いでた、は若干盛ったけど。
さりげなく、話題を振る。
さりげなかったかどうかはぶっちゃけ分からん。
長尾｢なーんだ、なんか裏でコソコソ言ってたんはそれやったんですね｣
｢でも、正解なんちゃう？女の子連れとるし｣
核心。
めっちゃ心臓は鳴るし、正解やって言われたらどないしよって考えて少し怖くなった。
ちら、と思わず彼女の方を見やる。
彼女はすこしぽかんとした目でこちらを見上げていた。
そしてはっとしたかのようにぱっと目を見開いた。
長尾｢Aは｣
A｢あ、いや、私は幼馴染で…！｣
幼馴染。
幼馴染。
幼馴染…！
彼女や、なかったんや。
なら、俺にやって、チャンスはある。
このチャンス、掴まな逃がしたら絶対後悔する。
彼女やないって事実に浮かれて、返事を忘れそうになる。
｢幼馴染なん？へぇ、そうなんや！たしかに、謙社の彼女にしては大人っぽいなぁとは思おたわ｣
謙杜の幼馴染のAちゃん。
日頃から謙杜が俺に話してた、一個上の幼馴染やと思う。
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作者名：SOLa | 作成日時：2023年3月6日 23時
