Don't let go, can't let go． (ページ23)

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大｢ちょっと待ちぃ。スマホは？｣

『？ありますけど…』

大｢貸してや。｣

取り出したスマホを、貸してと言いながら私の手から取っていく。そして、たたっと操作して。

大｢俺ん連絡先入れとったから、
しんどくなったらいつでも連絡してきい｣

と、私にスマホを返してきた。
彼の表情はやっぱり柔らかくて、戸惑っていた私も、素直にありがとうございます、と口をついた。

それから、西畑くんに送ってもらったことについての感謝を述べて、車を降りた。
エントランス入るまでここおるから見送りとかええよ、と言った西畑くんは本当に私がマンションのエントランスに入るまで見送ってくれていて、入ったのを確認すると最後に、ぱっと手を挙げ、挨拶をして去っていった。

家に到着した私は、各人にメッセージを、と思いメッセージアプリを開く。

大橋くんには、

Aこんばんは、夜遅くにすみません。Aです。今日は大丈夫でしたか?ゆっくり休まれて下さいね

と送り、

西畑くんには、

AAです。今日はお世話になりました。本当にありがとうございました。

と送る。

そして、道枝くんからは

駿佑道枝です。今日はすみません、ありがとうございました!プレゼントの件はまた後日ご連絡させていただきますね
おやすみ

とのメッセージ。
最後だけ敬語抜いてくるのなんなの、と少し照れた私は、それを隠して、

Aこちらこそだよ!ありがとうね、おやすみ

と返した。

謙杜は……と悩んだ挙句、今送っても何の解決にもならない――むしろ謙杜は今、私を思い出したくもないんじゃないか――なんて考えて、開いていたトーク画面を、そっと閉じた。

――こうして、私の波乱すぎる一夜は終わりを告げた。