002 ページ3
☆
玲於「珍しいね、まこっちゃんが人がいるところに出歩くなんて」
慎「ま、まぁ、たまには必要かなとか思って」
玲於「ふーん」
玲於さんは感が鋭いな。
普段、飲みに歩くこともない俺が
玲於さんを誘って、結構な人が集まる
有名なデザイナーさん主催のイベントに来ている。
もしかしたら、こういったところで出会えないかなって。
ここに限らず、この前もクラブのゆるい版にもいってみた。
けどまあ女の人からグイグイ来られて走って逃げたけど
でもやっぱり、女の人は苦手だ。
今もそう、
俺らがあの佐野玲於と長谷川慎って知っている人だっている
そんなキャピキャピしなくていいって。
・
慎「…はぁ。」
疲れた。
とにかく疲れた。
ダメだ、女の人も、大人の世界も、
芸能の世界も、
どこもかしこも、疲れる。
なんかなあ、つまんないわけではないけど
なんかなあ!!!
慎「あーーっ!」
誰もいない、1人の部屋に
叫んでも消えていく、虚しい叫び声。
まもなく2週間。
彼女が、ここに来てから、
いや、ここに連れ込んでから。
慎「…」
ずっとリビングの、テレビの前のテーブルに
彼女が忘れていったピアスが置いてある。
これ、なかなかのイイヤツ
あの子、一体どんなどこのお嬢様なんだ?
いや、でも契約切られそうだとか
身内がなんとかかんとか、とか
よくわかんないや
よくわかんないけど、でも、
あーーー、よくわかんない!!!
でもこのピアス、片耳だけ
落としていったのは片耳だけ
ってことはいつか、これの片方
片方を着けた人が現れるってことだよね
壱馬さんがいつしか言っていた
シンデレラみたいに落としてったもん
絶対取りに来る
『必然的に』取りに来ることになるって。
だからきっと、"あの子" も
また俺の前に現れると信じてる
今でも蘇る、あのちょっと儚い顔
・
917人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サトウプリン | 作成日時:2020年7月1日 0時