27．こころ、いま、どこ ページ27
ずっと言えなかった言葉を伝えた時に見せたAの顔は想像していたものとは違った。
泣き出しそうな顔をして、なんでと言った。
理由なんて見つからなかった。
隣にいるのがAしか考えられなかったんだからほかの人なんてものはない。なんで、も何もない。
でももう遅かったかもしれない。
Aからごめんとラインが来ていたけど既読無視をしてしまった。
そのあとの撮影では思ったように表情が作れず、何度もNGを出して予定の時間よりかなり押してしまった。
俺は最後から二番目、最後は瑠姫くんだった。
「瑠姫くんごめん」と言うと「汐恩ちゃんとしろよー」と笑った。年上だけど弟みたいっていつか言ったけれど、こういうところはやっぱり年上だなと感じる。
瑠姫くんは何も聞いてこなかったし、何も言わなかった。
▽
赤い顔で戸惑ったように僕を見つめるAちゃんの顔。何かを決心したような汐恩の横顔。
あの後2人に何があったのかは僕は知らない。本当に忘れ物をしたのかもただの口実だったのかも知らない。
2人が過ごした時間を僕は知らない。
ドクドクと自分の心臓の音で目が覚める。
夢の中で泣いていた彼女の顔。久しぶりにみた彼女の夢は僕をまた過去へ引き戻す。
Aちゃんは彼女との過去が僕を強くすると言った。
夢を見るたびにまだ苦しくなる僕は彼女と過ごした時間を思い出には出来ていない。
Aちゃんのことを考えるたびに彼女の影がちらつく。忘れることが怖かった。今は思い出すことのほうが怖いのはどうしてだろう。
▽
ふいにぽろっと言った欲しいものを覚えていてくれた。荷物が多い日に重いと言えば文句を言いながらも持ってくれた。夏が嫌いで基本的にインドアなのにわざわざ本棚を組み立てに来てくれた。二人で歩くときはさりげなくいつも車道を歩いてくれた。
思い返せばヒントはたくさんあったんだ。私が気づかなかっただけ、鈍感なだけだった。
汐恩のことは好きだ。
でもこれが恋なのかと聞かれたらよくわからない。
考えれば考えるほどわからなくなってしまう。
あの日のことを思い出すと浮かぶのは瑠姫くんの香水の匂いと汐恩の後ろ姿。
汐恩のまじめな顔に何も言えなくなってしまった。
帰ると言った汐恩を引き留めることは出来なかった。
汐恩の曇りのない目に私はどう映っているんだろうか。
私はちゃんとまっすぐに立っているんだろうか。
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ふふ(プロフ) - りんさん» りんさんはじめまして！コメントありがとうございます☻地獄みたいな話書きます！気長にお待ちください❤︎（笑） (2021年11月20日 0時) (
レス) @page44 id: e6fec39ceb (このIDを非表示/違反報告)
りん - はじめまして！作品とっても面白かったのでコメントしました。次回大学生の地獄みたいな作品希望です（笑） (2021年11月18日 23時) (レス) @page44 id: 1f8c0c6745 (このIDを非表示/違反報告)
ふふ(プロフ) - みぺさん» みぺさんありがとうございます☻たくさん私のお話読んでくれているようで嬉しいです！😭 (2021年11月18日 21時) (レス) id: e6fec39ceb (このIDを非表示/違反報告)
ふふ(プロフ) - ぺいんさん» ぺいんさんありがとうございます☻分かってくれる人がいた！と思って嬉しかったです〜！Funny bunnyはほんとに名曲ですよね…！ (2021年11月18日 21時) (レス) id: e6fec39ceb (このIDを非表示/違反報告)
ふふ(プロフ) - 萌萌さん» 萌萌さん☻いつもありがとうございます！期待に応えられたでしょうか…また頑張って書きますのでこれからもぜひよろしくお願いします！ (2021年11月18日 21時) (レス) id: e6fec39ceb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふふ | 作成日時：2021年7月15日 14時
