15.駄々っ子 ページ16
和は私の腕をいきなり掴んで
それから駄々っ子のような顔で言ってきた。
二「じゃあ服脱がせて」
「は... なんで私がそんなこと...」
二「いいから早く〜」
「嫌です」
二「病人なんですけど」
「服くらい自分で脱げるでしょ」
二「お願い〜」
この酔っぱらいが...
ここで抵抗すると長くなるのはいつもの事だ。
和は酔っている時に自分の思い通りにいかないと
あとから面倒な態度をとってくる。
それでこの酔っぱらいの気が済むなら...
「はぁ... 分かったから、手離して」
和は黙って口を尖らせて
私を見ながら手を離した。
私はふっと息を吐いてから
自分の手を和の胸元へ近づけた。
それからすぐに
ひとつ目のボタンに触りかけたところで止まった。
二「ねぇ、早くしてー」
急かしてくる和とは裏腹に
私の手はなぜか、緊張する。
少しだけ手が震えていたが
こんなことで緊張しているのがばかばかしくなって
何も無かったかのように
ひとつ目のボタンを外した。
和はじっと、その酔った虚ろな目で私を見ている。
そして、ふたつ目、みっつ目、と外した。
その頃ちょうど
和のほっそりとした鎖骨がシャツから顔を出した。
よっつ目を外そうとした時
和がその外そうとした私の手首を勢いよく掴んだ。
「ちょ、なに」
二「 ... 」
その目は、急に真剣な顔つきに変わった。
何も言わずに、和は私の手首を掴んだまま
私の方へ少しづつ歩いてきた。
「ねぇ、なに」
そして後ずさりした私の背中は
ぴったりと廊下の壁にくっつき
私の手首は顔の横あたりの壁に押し付けられた。
「...なにしてるの」
和は私から目をそらしてうつむいた。
二「お前ってさ」
二「男のシャツさらっと脱がせちゃうような女なんだな」
「は...」
なにそれ...？
「いや私はただ酔っ払らいに付き合ってやろうと思って... 」
和は私の話を遮って
もう片方の手首も掴んで
それを壁に勢いよく押し付けた。
二「そういうこと男に軽々しくやると」
それからゆっくりと虚ろな目で
私をのぞき込むようにして顔を近づけてきた。
二「スイッチ、入っちゃうよ？」
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作者名：しんみの | 作成日時：2018年1月3日 9時
