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13.そっけない ページ13
和が私の背中をトントンっと叩いてくれた時。
私はふと我に返った。
「はっ...！ごめん」
二「いや、俺こそなんかごめん」
「いや、その、泣くつもりとかなかったんだけど…」
お互いになった事のないシチュエーションで、
戸惑いの沈黙がしばらく流れた。
その沈黙に先に耐えられなくなったのは、
私だった。
「あ、これ、頼まれたやつ」
私は押し付けるように、
手に持っていた茶封筒を渡した。
二「ん、ありがと」
「じゃ、」
この状況に恥ずかしくなって
わざとそっけなくその場を去ろうとしたとき、
まだ和がこちらを見ている気配に気づいていたが、
私は構わずエレベーターの方へ歩き出した。
二「なあ」
すると思いがけず引き止めてきた。
「ん？」
と、下向き加減で半分しか振り返らずに
私は聞き返した。
顔は見ていないけど、
和が何か言いたそうにしているのは
なんとなく分かった。
二「その、、」
「ごめん、ちょっと急いでるんだけど」
何も急いでないのに、
早くこの状況を打破したくて、
私は嘘をついた。
二「いや、、、今日帰りお前より遅いから、先風呂入っといて」
しばらく時間が空いたあと、そう言った。
なんだ、それだけか。
「ん、分かった」
どうしても顔を直視出来なくて、
ちょうど着いたエレベーターに、
私は和の顔も見ずに乗り込んだ。
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作者名：しんみの | 作成日時：2018年1月3日 9時
