【QK短編集】君との愛濃度

少しだけ我慢して(kwkm×ko) ページ23

川上さんは、最近、要件を言わずに1人で出かけることが多くなった。



川｢いってきます。｣

今日は折角の休日で2人で過ごそうと思っていたけど、今日も、また、少しだけ我慢して、｢いってらっしゃい。｣と笑顔で見送る。

―――

【別の日】

川｢じゃあ、行ってくる。｣

渡｢いってらっしゃい。｣

少しだけ我慢。

―――

【また別の日】

川｢いってきます。｣

渡｢いってらっしゃい。｣

少しだけ我慢。

―――


今日で付き合って2年目だ。今日くらい一緒に居てもいいよね？

川｢ちょっと行ってくる。｣

渡｢…ん。いってらっしゃい。｣

少しだけ我慢して笑顔で見送る。


川｢…どうかした？体調悪い？笑顔が無理矢理すぎるよ。｣

渡｢…えっ…気のせいですよ。｣

川｢ほんとに？｣

渡｢はい。｣

川｢嘘だ。｣

渡｢ほんとです。｣

川｢話して？ねぇ、俺なんかした？｣




渡｢…今日…付き合って2年目なんです。｣

川｢えっ！？嘘っ！？｣

渡｢ほんとです。｣


川｢ごめん…忘れてた…本当にごめんなさい。｣

渡｢…いっつも川上さん、要件も言わず出ていくし、｣

川｢ごめん。｣

渡｢…記念日も忘れてるし｣

川｢絶対埋め合わせする。｣

渡｢…もうっ…俺…心配でっ…｣

目の前が水でぼやけてきた。
その水はぼろぼろと頬を伝って、床に落ちる。

泣くつもりは無かったのに、勝手に流れてきた。

それを見かねた川上さんは俺に抱きついた。

川｢気づいてやれなくてごめんな…｣

わざと泣いてるんじゃないの。自分が泣くせいで川上さんをどんどん悲しませていく。もうやだ。止まれ。止まれ止まれ。

川上さんの声は冷たい藍色だが、俺は川上さんの暖かい赤橙色のオーラに包まれた。

川｢ごめん。…ありがとう。…大好き。｣

渡｢俺もです。｣

川｢今から出掛けれる？｣

渡｢…出掛けれ…ますけど…？｣

川｢よし。じゃあ、今日はこうちゃんの好きな所行こう。流石に海外は難しいけど、国内ならどこでも行こう。｣

渡｢お家はダメですか？｣

川｢え？｣

渡｢お家で2人でのんびり過ごすんです。俺の1番好きな時間は、2人でお家にいる時なんです。録り溜めたテレビ番組を観ながら寝落ちするまで一緒にテレビ観るんです。…ダメならいいんですけど…｣

川｢いいよ。なら今日はゆっくり過ごすか！｣

渡｢…はいっ！｣

続き→←夏が嫌いになりそうだ(kwkm×ko)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す