１話：今日から雄英生だっていうのに… ページ4
『今日から雄英生でしょう？ちゃんと起きなさい。』
「は！？そうだった！しょうくん待たせる訳にはいかないね！」
『全くもう…焦凍の迷惑も考えなさいね？』
ユノの言うしょうくんと言うのは轟焦凍のこと。近所に住む唯一の同じ年の少年であり、轟家にはかなりお世話になっている。特に焦凍の姉・轟冬美にはユアはよく家事を教わっている。最も最近はユノ、ユアは受験生、冬美は教師ということで交流も少なくなっているのだが。
『はぁ……』
「ため息はダメだよお姉ちゃん♪」
『そうね。早くご飯食べちゃいなさい？』
「はーい！」
この妹は、焦凍の家族の件で救えなかった上に気づけなかったことでとても落ち込んでいた時期があった。だからユアは異常なまでに妹に過保護であるのだ。これ以上心労をかけたくない、と。
『焦凍、待たせてしまったかしら？』
門にもたれて本を読んで待っていた幼なじみに問うと、「いや…今日はユノ、ちゃんと起きたんだな。」とすこし驚いたような返事が返ってきた。当たり前だ。ユノは小さい頃から朝に弱く、夜は寝付かない子供のような生活をしていたのだから。
「失礼だよしょうくん！私だってやればできるもーん！！」
「一体いつまで続くことなんだろうな」
「むぅ……」
焦凍にしては珍しくユノをいじっていた。こんな子供のようにからかいあう二人を見ていると、微笑ましい気分になるのがユアだ。親のようになるのも当然。ユノの面倒を長く見ていたことで精神年齢は実年齢よりかなり高いのだ。
『そこらへんにしなさい。焦凍、ずいぶん楽しそうね？』
クスリと笑みを含みながら言うと、
「そんなことねえだろ…お前もあんまりいじるなよ」
『そうね。もう焦凍はお兄さんだものね』
「お姉ちゃんお母さんみたーい！！」
そうユノが言ったとたん焦凍の表情はまるで別人かのように豹変した。まるで遥か遠くを憎むような瞳でまっすぐ前だけを見つめていた。
お母さんは地雷である。
「……………」
『ユノ………』
急に変わった空気が自分のせいだと察したのかユノはうつむいて黙ってしまった。気遣い、ユアが名を呼ぶがかなり悲しいようでユノは此方を向かなかった。ユノが悪いのではない。でもこの沈黙はかなり辛く、悲しいものだった。
『着いたね雄英』
(あ、猫………)
『ユノっ！？』
振り向くと突然居なくなっていた妹にユアは目を見開いた。焦凍も気がついたようで驚いていた。
『「どこいった……！？」』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
天城(プロフ) - 八月葉月さん» ありがとー！頑張るよ〜 (2018年11月18日 11時) (
レス) id: 041f53c032 (このIDを非表示/違反報告)
八月葉月(プロフ) - 天城さん» 更新頑張ってください！ (2018年11月17日 16時) (レス) id: d22c0d8d8d (このIDを非表示/違反報告)
天城(プロフ) - すいません外したはずだったのですが…こちらの不手際です。申し訳ございません (2018年11月10日 13時) (レス) id: 041f53c032 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご確認下さい。オリジナルフラグをちゃんと外して下さい違反行為なので。外し忘れ、とかいう軽い意識はおやめ下さい。オリジナルの新着に二次創作が上がってくる事を不快に感じる人もいます (2018年11月10日 13時) (レス) id: 860a58c456 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
