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そらるside
自習の時間。
教室にいるのも退屈であの古い音楽室に来た。
そしたら、何故かAがいる。
「おい、何でいるんだよ」
「…ん、さぼり」
窓際の壁に寄り掛かって床に座ってるA。
「そらるさんも?」
「俺は自習」
「そう…」
今にも眠りそうなA。
その無防備さに何やら欲が生まれる。
近付いて、同じ目線になるように座り込む。
腕を掴んで引いて抱き寄せて口付けをする。
午前中で力が出ないのもあって抵抗は意味を持たない。
Aの舌に牙を立て血を吸って、
自分の舌に牙を立てて血を押し込むように飲ませる。
口を離せば純血種特有の燃えるような赤い目。
今だけだとしても俺だけを映してるって思うと優越感が込み上げてきた。
きっと今生きてる中で俺しか知らないA。
純血種の濃い血に酔わされる。
「好きだ」
言うつもりはなかった。
気付いたら口から出てた。
Aを見れば悲しそうな目。
俺の中にある前世の記憶と重なる。
あ、俺はまた繰り返したのか。
悲しませたいワケじゃない。
そんな目をしてほしいワケじゃない。
「うん、知ってる。ありがとう、でもごめん」
そんな目して笑わないでほしい。
「寝よっか」
何も言えなくなった俺にAはそう言って瞳を閉じた。
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作成日時:2017年9月27日 14時