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「もう来なくていいよ。」
千斗の静かな言葉のすぐ後に、男の怒声が響く。
その近くで万理は額を抑えていた。
ふたりのバンド活動が始まって暫くというもの、こんなことばかりだ。
「頼まれたって二度と来るかよ!!」
「…じゃあ俺も。」
「ちょ、ちょっと待って!」
「……はあ…」
出てってしまった男性たちを万理は呼び止めていたけれど、そのまま行ってしまったらしい。
溜め息を吐いていた。
私もバンド活動を手伝うメンバーのひとりとして、止めた方がいいのかとも思ったけど、結局千斗が満足していない音なのはわかっているし…引き留めても上手くはいかないだろうと思っていたから、止めない。
「今度は何が気に入らなかったんだ?」
「自己主張激し過ぎ。」
『それ千斗が言っちゃう?』
「ホントだよ」
「音がだよ。下手な癖にネチネチ弾く。
バンも欲しかった感じじゃないだろ?」
「そうだけど…
そういうのは話し合って少しずつ合わせていくもんだろ?」
「お前やAみたいに理解出来ないよ、彼は。」
「ふう…また募集かけなきゃ…」
『また手伝うよ、万理。』
「A…ありがとう。いつもごめんな。」
『全然!』
「お腹すいた…何か持ってない?」
『私の鞄の中にカロリーメ◯トなら入ってるけど、食べたかったら出して食べていいよ。』
「ん…」
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私からすれば千斗は世話の焼ける可愛い後輩。
でも、千斗はルックスが良くて色眼鏡なしにみてもカッコよかったし、大人っぽかった。
だから修羅場とかも多くて…
「ッこのガキ!!人の女に色目使いやがって!!!」
「っおい…!」
「そんなんじゃないってば!
ユキくんが私のベース好きって言うから手伝いを…」
「そうだよ。」
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作者名：緋真
| 作成日時：2023年8月19日 3時
