【鬼滅の刃】_永遠に傍に居たかった_【男主】

肆拾肆 ページ44

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「……兄上は、まだお戻りにならないか。」









＿＿聖柱であるAが所有する大屋敷・聖屋敷には、蛇柱である伊黒が掃除に訪れていた。

週に一度。
弟子を取ったりすることが滅多にない彼の屋敷は、彼がいなければ完全に放置することになってしまう故に、伊黒はAが留守の間、掃除に度々屋敷を訪れていたのだ。









約一週間前と変わらなさすぎる屋敷の様子に、伊黒は深い溜息を吐いた。









「……始めるぞ、鏑丸。」









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伊黒side









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この屋敷の掃除は手慣れたものだ。

何度も何度もやってきた。


あの方に屋敷に引き取られてから。

あの方に、救われてから。









「……会いたい」









ｼｬｰｯ








鏑丸が俺の言葉に同意するように鳴き声を上げる。









鏑丸も、よく兄上に懐いていた。

ここまで長期間会わなかったのは久しぶりだから、心配しているというのもあるだろう。









「……確か長期間留守の理由は、有望な子供を見つけたからだったか。」









嗚呼、嫌だ。また兄上に付き纏う連中が増える。

けれどあの兄上が自ら数年面倒を見たいと、見守りたいのだと言うまでの存在だ。

きっと、良い奴なのだろう。
俺などよりも…剣技の才に溢れ、快活で、惹かれる奴なのだろう。

穢れた俺などとは比べ物にならぬほどに、真っ直ぐで純粋な奴なのだろう。きっと。









「……ちっ」









嗚呼、気に入らない。









嗚呼、嗚呼。









…心底、羨ましい。

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