318 ページ29
.
「…終わったんだな。」
崩壊したエイリア本部を、みんなはキャラバンの外に出て眺めていた。
「さぁ、行こうか。」
「…」
「お父さん…」
鬼瓦の声かけに、吉良はゆっくりと頷いた。
「ありがとう瞳子、お前のおかげで目が覚めた」
一言そう告げ、吉良はパトカーの方へと歩き出す。
「父さん!俺、待ってるから!
父さんが帰って来るまで、ずっと待ってるから…!!」
「……ヒロト…」
そして、吉良はパトカーに乗り込んだ。
それを見届けた鬼瓦は、ジェネシスの子供達に歩み寄り、優しく声を掛ける。
「…さあ、君たちも行こう。」
「…あの、」
「ん…?どうした。」
無言を貫いていたジェネシスの子供達だったが、ウルビダの声を筆頭に顔を上げる。
「もし…Aが、無事に戻ってきたなら…それだけでも、教えてもらえませんか…?」
「…!」
「Aは…私達の、'' 家族 '' ですから…。
一度、裏切ってしまったけれど…それでも、…Aは私達に手を伸ばしてくれたから…。」
「…絶対。絶対、伝える!」
不安げにそう伝えてくれたウルビダと他のメンバーに、円堂は力強くそう答えた。
「……円堂守。私はお前が嫌いだった。」
「ぇ」
「…お前は、私がずっと求めたものを…私が求める前から当たり前のように手にしていたからだ。」
「…?」
「私にとってAは…誰よりも、何よりも大切な存在だった。
…Aのことを、宜しく頼む。」
「っ…ああ!!」
力強く頷いてくれた円堂を見れば、ジェネシスは表情を少し明るくさせる。
何処か安堵した表情で、ウルビダを筆頭にジェネシスの子供達はパトカーの方へと歩き出した。
「響木監督、円堂君達の事…お願いしても宜しいでしょうか?
…あの子達の、傍に居たいんです。」
「あぁ…」
「ありがとう、皆。
ここまで来れたのも…皆がいたからこそ。
感謝しているわ…本当に、ありがとう。」
そう言って、瞳子は深々と頭を下げた。
「監督…」
「監督…!」
「監督!」
「監督…ッ」
瞳子は柔らかな微笑を浮かべ、動かないままのヒロトの横へと歩み寄り、手を差し出した。
「さあ、…行きましょう。」
「…うん。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 704人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あいひ - とてもいいお話だと思います(^^)これからも頑張って下さい！応援しています！ (2020年6月23日 10時) (
レス) id: 1f3cc1e722 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 更新とても嬉しく思っています。これからも追い続けます。 (2020年6月22日 2時) (レス) id: 05ebd46207 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - イナイレの小説の中で1番好きです (2020年5月28日 16時) (レス) id: 87b01b0a04 (このIDを非表示/違反報告)
威吹鬼(プロフ) - とても素敵なお話です！イナイレの中で1番好きです!!忙しいと思いますが、これからも頑張ってください。応援しています。 (2020年4月25日 14時) (レス) id: 5195643059 (このIDを非表示/違反報告)
かなり - でも、無理のないように頑張って下さい。応援しています。 (2020年1月6日 22時) (レス) id: 75587ea7d8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：緋真姫
| 作成日時：2019年9月29日 14時
