【イナクロ】僕が恋した彼女は、男の娘でした。 (ページ10)

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「それじゃあ、僕は剣城くんや天馬くん達にこのことを知らせてくるよ。」

「一人だけで大丈夫ですか…？」

「うん。それより君も…平気なの？
報告にはいかなきゃいけないけど、やっぱりここに置いておくのは少し不安だよ…」

フェイの言うことは最もだった。
いくら幕府で一番の権力を握る徳川将軍に気に入られ、招かれた客人だとしても倒幕派の事もある。

正直この城にA一人を残すのも如何なものかと。

「…あの、フェイ殿。
貴殿が戻ってくるときまで、姫のお側には俺が控えていましょうか？」

「え、…いいんですか？」

「そんな…沖田さんの手を煩わせる程では」

「何言ってるの…一応ここは僕らからすれば慣れてない土地だし、誰かがいた方が安全だよ。」

「それはそうですが…」

「姫、お気になさらず。
…俺が…貴方の側にいたいのです。」

「沖田さん…」

沖田総司は水鳥の言う通り美男子であった。
二人が並ぶ姿はとても絵になり、フェイの心の中の感情は明らかにざわつく。

それを振り払うように首を横に振った。

「…じゃあ、行ってくるよ。
なるべく早く戻ってくるから！
…沖田さん、彼女の事をお願いします。」

「ええ。」

「…気をつけてくださいね、フェイ」

「わかってる、大丈夫だよ。そっちも気をつけて！」