【イナクロ】僕が恋した彼女は、男の娘でした。 (ページ9)

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「貴方が沖田総司だったのですね。
ふふ、…これは運命でしょうか？」

「運命？」

「私は…貴方方を探していました。」

「探していた…？貴方のような姫君が何故俺を…」

「待って、それを今言うのは…！」

「大丈夫ですよ、フェイ。
…私達の大切なものを守るために、貴方のその力を必要としているんです。」

「俺の力…」

''突然で驚きましたか？''

そう問いかけるAは小さく微笑んでいた。
その綺麗な微笑みに二人はドキ、と胸を高鳴らせる。

「しかし俺は…もう永くない。
それに、俺はこの命を新撰組のために尽くすと決めています。…その意思は、揺らぎません。」

「…私は、この先に起こる未来を知っています。
この先幕府がどうなり、倒幕派がどう動くのか、…私は全てを知っている。」

「未来を、知っていると？」

「はい。…私は時の流れを越え、その先にある貴方方に会いに来たのです。」

「それは…未来から、やって来た。
そういうことでしょうか、」

「はい。」

桃色の瞳が、沖田の姿を捉えていた。
…その瞳は、酷く儚げに見える。

哀愁が漂う美しさ。
その光景は周囲にある大輪の菊の花々と重なって、とても美麗だった。

彼女のその雰囲気は何処か朧げで、
…まるで''月''の様だったのを覚えている。

「貴方は、不思議な人だ。」

「…よく言われます。」

そう言って微笑む彼女は、きっと何よりも秀麗で美しかったのだと…そう感じた。