アマリリスが咲くまで

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毎日寝る間も惜しんで、
デビューに向けて必死に練習して

初めて立ったステージでは
本当に感動して涙で前が見えなかった




やっと夢が叶ったんだ、そう思って、


デビュー曲の活動が終わる時

同じグループのみんなと、次も頑張ろう！って
代表に恩返ししよう！って夜中に宿舎で語り合って、








でも、その次が来ることはなかった










『デビュー曲の活動が終わった後

数日間休みを貰ったんだけど、
その休みが明けた日、会社に行ったら

倒産するって聞かされて』



「倒産、ですか…？」



『うん、デビューさせてもらった1年くらい前から
実は経営が上手く行ってなかったみたいでさ…

でも俺たちそんなこと何も知らなくて』





代表は俺たちが不安にならないようにって

必死に隠し続けてくれてたんだと思う


俺が22歳までにデビュー出来なかったら
日本に帰らなきゃいけないことも知っていて

そのギリギリのタイミングで
なんとかデビューさせてくれたんだって



才能があるのに、この会社に入ったせいで
デビューさせてあげられないなんて…って、


他の会社に行けば良かったのかもしれないけど


俺はその事務所と代表がすごく好きで、
夢を追いかけるならここしかないって思ってた




そのせいで会社の皆さんには
無理をさせてしまってたことに気付かなくて

その才能が埋もれてしまうくらいなら、と言って

最後になんとか頑張ってくれたってことを
俺は後から知って、本当に頭が上がらなかった







デビューさえ出来れば
名前も存在も知ってもらえるし、

ある程度応援してくれる人もいて、

それがステータスにもなる




当時一緒にデビューしたメンバーは
今は他の事務所に移って活動してて、

Aも一緒に行こうって言ってもらったし、
代表にもそうするべきだって言われたけど





その時俺はもう22歳で、
あ、日本に帰らなきゃって咄嗟にそう思って

みんなの言葉は本当に嬉しかったけど、

もう夢は諦めてこれからは親孝行しようって


日本に帰ってくることに決めた







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