アマリリスが咲くまで

１４ ページ17

.









「あれ、隣空いてない」

『あ、匠海おはよ』

「おはよ！
Aくんと話したいことあってさー、
隣行こうと思ったけど空いてなかった」






声の主は朝でも元気な匠海で、

隣に座る洸人を見て
残念、と零しなんだかがっかりした様子









「匠海、Aの隣は俺の席だから」

「いや西くんそんなドヤ顔で言うのやめて」

『ごめんね匠海、後で話そう』

「うん、じゃああっち座る」








何故か隣で自慢気にしてる洸人に

すぐにツッコミを入れる匠海は
さすが関西人と言ったテンポで会話をして

そのまま前の方の空いている席に座った









「あ…、Aくんの隣空いてない…」








次に目に入ってきたのは
しょんぼり肩を落としている蓮汰の姿








『おはよ、蓮汰』

「蓮ちゃんごめん、ここが良かった？」








洸人の言葉に少し間を空けてから

Aくんと話したかったです、と言って

こちらを見つめる蓮汰の姿は
朝だからかいつも以上にぽやぽやしている


それはそれは相変わらず犬みたいで、
あまりの可愛さに思わず洸人と顔を見合わせてしまう









「え、譲ろうか？」

「だいじょぶです、あっちに座ります」

『蓮汰ごめんね、後でいっぱい話そうね』








そう言った僕の言葉に蓮汰はコクッと頷いて、
それから空いていた斜め前の席へと座った







少し離れたところから聞こえてきた
俺の時と態度違いすぎ！と
洸人にクレームを入れる匠海の言葉に



蓮ちゃんが可愛いから仕方ない、と
真顔で返す洸人を見てそれはもう大きく頷いた









(「Aが朝から人気者すぎる」)
(『いやいや、』)
(「そして蓮ちゃん可愛い」)
(『それは全力で同意する』)


.

１５→←１３

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す