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こじゅうなな ページ8

思わず駆け寄った。

彼の肩や腕を触りながら生存を確認する。


「生きてる…!」

「いてぇ!!」

「あ、ごめん。」


腕を触った時に痛がられた。

そこまで強く触った訳では無いから、恐らく折れているのだろう。

病院行かせなきゃ。


…どうして宅配業者の腕が折れるのだ?


「…魁利くん、宅配業者に変装したんだよね?どうしてこんなに遅くなった上に傷だらけなの?」


真新しい頬の傷跡に軽く触れる。


「いっ!…アイツと玄関でドンパチしてたら遅くなっちった。」


あはは〜と笑う魁利くんに圭一郎先輩が肩の力を抜いて


「心配させるな。」

「いったぁぁ!!」


バシッといい音を鳴らして腕を叩いた。

勿論魁利くんは顔を歪めた。…今深夜だぞ?

まぁ、寝ている奴がそんなにいる訳では無いしさほど問題ではないが。

未だ悶絶している後輩とは逆に優しげな笑顔の圭一郎先輩。

魁利くんからしたら、もはや悪魔の様にしか写らないのだろうが。


でも汚れた宅配員制服を見る限り傷は腕や顔だけでは無さそう。

未だに出血が止まっていないように思える箇所も少し。


「派手にやったね…。跡残ったらどうするの。」

「そんなの何でもいいよ。」

「ナンパの成功率下がるよ?」

「それがどうしたのって感じ。」


いつもと違って、拗ねてる?

そんな雰囲気と口調。


「…どうしたの。ムキになって。」

「そりゃあ…だって、、」

「?」


急に口ごもったと思えば照れくさそうに、でも言葉はハッキリと。


「千輝ちゃんをバカにされたのが、悔しくてさ。」


何言ってるんだか。

…でも、正直嬉しかった。


「…ありがとう。ちょっと見直した。」

「え、ちょっと?」

「ちょっと。」

「嘘でしょ」

「ちょーっと。これくらい。」


少し褒めただけでこれだ。

彼をベタ褒めする日は来ないだろう。


「褒めてよー!」

「犬かお前は!」



「あれ、この傷どうしたの?」


声のトーンが変わった魁利くん。

その指先が触れたのは私の首。

少しくすぐったい。


「あぁ、瓶の破片をね。」

「ちくしょー。もっと真面目にドンパチしとけばよかった。」

「それ以上怪我したら困るでしょ。」

「何?心配してくれてるの?」

「早く病院行ってこい。」


バシンと腕を叩いてやった。

それなりの力で。


「いってぇぇぇぇ!!」


ものすごく涙目だけど、これは、完全に故意。

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うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (2023年5月5日 17時) (レス) @page43 id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
歯磨き粉(プロフ) - 月守ショコラさん» ありがとうございます!仲間ですねウヘヘ← (2018年10月12日 7時) (レス) id: 5927658f25 (このIDを非表示/違反報告)
月守ショコラ(プロフ) - オリキャラのやつ、私も拝見しています!これからもがんばってください! (2018年10月11日 21時) (レス) id: b1a1cb7aec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:歯磨き粉 | 作成日時:2018年9月18日 22時

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