愛を欲すは孤独の狼-2 (ページ32)

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はちじゅういちページ32

「ん…」

ぼーっとする頭のまま目を開いてみる。

空が橙色だったのでそれくらいの時間だろう。

目覚めはさほどいいものではなく、こう、だるいというか。

体が熱を持っているのは確かだと思う。

窓とは反対側から聞こえてきた優しくて低い声。

「どうだ、調子は。」

「…動きにくい。」

かっちりと巻かれた包帯を摩り、少し笑いながら返す。

「…心配させるな。」

「心配してくれたんだ？」

「そりゃあするだろう。」

わしゃわしゃと頭を撫でられた。

少し恥ずかしくなったので起き上がる。

「いててて…」

「無理をするな。」

肩が痛い。

ジーンと痛むのが何重にもなる感じだ。

それよりも気になったのは…

何でこいつこんなに介抱すんの上手いのだろうか。

「人が血塗れの時には助けなかったくせに？」

「本来ならあの倉庫で奴を見つけた瞬間に撃てたが、お前の望みだろう。」

「まぁね～」

そのまま少しだけ話した。

慶翔がどうとか、捜査官達は何してるとか。

今日の朝方にはジョディ達がいてくれたらしい。

で、仕事がひと段落着いたら圭一郎先輩と魁利くんが来てくれるらしい。

それにしても…

「動きてぇ…。」

いつもその辺をウロウロしていたからなのか、動きたくてたまらない。

慌ただしく動く生活が日常化していることを実感した。

「その体で無茶を言うな。」

「あ、飲みもの買いに行こ？」

「何が欲しいんだ？」

「私は歩きたい。」

「そうか。水でいいな？」

「話聞いてよ。」

互いに互いの話を聞いてない。

ふたりとも主張が強い。

「外行こ？」

「痛めつけるぞ？」

これ以上痛めつけてどうするんだ。

あれ？でもそこまで痛くない。

「…痛み止めか。」

腕に繋がる管の先には銀色の棒にかかっている液体が入ったパック。

中身は残り半分程。

「行こう！」

赤井が何かゴタゴタ言ってるけど気にしない。

そこに置いてあった病院のサンダルを借りる。

いざ立ってみるとやはり多少は右足が痛む。

肩と同じ様な痛みのタイプだ。

「…支えるか？」

「大丈夫。」

赤井も諦めた様で。

一先ず2人で自販機に向かう。

私の左手には点滴スタンド。

取ってもいいけど色々と後が怖いので一緒に散歩させてやる。

その時に気がついたのだが、ここは普通の病院で、警察病院ではなかった。

てっきりそうだと思っていたけど、個室だったので余計に気が付かなかった。