ななじゅうはち ページ29
「ぐっ!?」
気を抜いてしまった瞬間を見逃さず、鳩尾に一発、とてつもなく重いのをくらった。
そのまま後ろへよろける。
相手が右手の棒で私の体を押したので、力の入らない足では、簡単に倒れてしまった。
起き上がろうと力を入れたら、肩に棒の先を強く押し付けられ、抉るかの様にジリジリと動かされる。
それを離そうと手を伸ばすが私を跨いだ奴に腕辺りを踏まれる。
「…同情の余地があるなら真面目に戦いなよ。」
そう吐き捨てると、右足で私の腹を何度も何度も踏みつけた。
「ぐ、あ"!っ、!」
踏みつけられる度に体の末端が跳ねる。
少しずつ、頭が回らなくなっていく。
「…惨め。」
そう言って隠し持っていたナイフで棒とは反対側の肩を突き刺してきた。
「い"っ!!」
それを引き抜くと、相手も少し引いたので肩を抑えながら起き上がり、蹲る。
「ゆっくり殺してあげるから、安心してね。」
やつの顔を見上げると同時に思いっきり蹴り飛ばされた。
滑った所には血の跡が着いている。
ゆったりとした足取りで近づいてきた男は、私を仰向けにさせて、横に倒した棒をぐぐぐ…と首元に押し付けてきた。
「ぁ…、うぅ…っ!!」
苦しい…!!
棒を離そうと、力を入れるも、微動だにしない。
「苦しそうだね…!」
頭がジーンとする。
視界も危うくなってきた。
このまま死ぬのか…?
「っは、!!ケホッ…」
「大丈夫。さっきも言ったけどそんな直ぐに殺さないから。」
突然肺に吸い込まれた空気。
ケイトが棒を離したのだ。
どっかの歌詞にあった、酸素が自分を望んでたってこの事だとぼんやり考えた。
3秒以上経ったのにまだ視界が戻らない。
目と頭がジンジン痛む。
畜生。貧血か?
「ぐぁぁ!!」
右の腿を刺された。
痛い、痛い…!
「あ、…あっ、…!!」
声が出ない。
その代わりに涙がポロポロと。
「ぃだい…!!」
「痛い?俺の痛みはこんなもんじゃないさ。」
「あ"ぁ"ぁ"ぁぁぁぁぁあ!!」
引き抜かれたと思ったら傷口を思いっきり踏みつけられた。角度を変えて何度も。
転げ回りたいくらいに痛いのに、押さえつけられていてただただ掠れた大声を出すしかできない。
痛い
苦しい
辛い
そんな負の感情が脳内をぐるぐると何度も回る。
実際は感覚なんだろうけど、変な感情が脳から離れない。
このままでは奴の思う壺。
どうにかしなくては…!
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うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (2023年5月5日 17時) (レス) @page43 id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
歯磨き粉(プロフ) - 月守ショコラさん» ありがとうございます!仲間ですねウヘヘ← (2018年10月12日 7時) (レス) id: 5927658f25 (このIDを非表示/違反報告)
月守ショコラ(プロフ) - オリキャラのやつ、私も拝見しています!これからもがんばってください! (2018年10月11日 21時) (レス) id: b1a1cb7aec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:歯磨き粉 | 作成日時:2018年9月18日 22時