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ななじゅうろく ページ27

「…あ、かい?」



体が動かないのは驚きからではない。


彼が、私を、そっと抱き締めていたのだ。


私の存在を確かめるかのように、強く。



「お前は、馬鹿だな。」



優しくも芯のある声色。


それが妙に落ち着いて。



「そうかもね。」



少しだけ力が抜けて、笑ってしまった。



「期待に縋らなくとも、お前を愛する奴は居る。」


「ありがとう。でも、決めたの。」



誰になんと言われようと、絶対に成し遂げる。



「…行かせない、と言ったら?」



離れようとした私をそうさせないとして、力が少し強くなった。



「心配性ね。」



彼の頬に指を滑らせて両手で掬う。


目を合わせて微笑み語りかける。



「私は大丈夫だから。」


「そう言って死んだ奴が」


「私は死なない。絶対に。生きて帰るよ。」


「…」



そう簡単には納得してくれないみたいだ。



「…ねぇ、赤井。ひとつだけ。頼みたい事があるの。」



ーーー


日付が変わったツンと冷たい夜。

例のメールに書かれていた廃倉庫の重たい扉をギギギ…と開ける。


そこには


「黒須慶翔。まさか本当に一人だとはね。」


ドラム缶の上に座る双子の兄。


「待ってたよ、椎名千輝。逃げ出さないとは、偉いじゃないか。」

「アンタこそ。ちびってママに泣きついてると思ったよ。」

「面白いことを。」


くだらなさすぎて笑ってしまう。


「借りは返さなきゃと思って。あの時は負けちゃったからさ。」

「こちらにデメリットのない貸しはいくらでも無償で貸す主義でね。お返しは受け付けないよ。」


スタッと飛び降りた奴の右手には鉄の棒、左手には拳銃。


「素手で殺り合うとでも?」


「思ってないよ。」


羽織っていたパーカーを脱ぎ、隠れていたハンドナイフの存在を見せる。

すると相手もコートを脱ぎ、薄めの格好に。

相手が鉄の棒と拳銃でこちらはハンドナイフ2つではやはり味気ないのでそこに落ちていた鉄パイプを拾って武器に。

片端を持ってそこから反対の端までをもう片方の手でシュッと音を立てながら滑らせて長さを確認する。

相手よりはリーチが短そうだ。

それならそれで小回りが効くからいいだろう。


互いに互いを伺う。

口元には白い息が。



数秒間の睨み合い。





「ふっ、!」


来た。


ーーーー

新作どうしようかな…

色々ネタが浮かびすぎて次にどれを出すか決まらない…

もっかいコナン系書くかほかの分野行くか…

ななじゅうなな→←ななじゅうご



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うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (2023年5月5日 17時) (レス) @page43 id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
歯磨き粉(プロフ) - 月守ショコラさん» ありがとうございます!仲間ですねウヘヘ← (2018年10月12日 7時) (レス) id: 5927658f25 (このIDを非表示/違反報告)
月守ショコラ(プロフ) - オリキャラのやつ、私も拝見しています!これからもがんばってください! (2018年10月11日 21時) (レス) id: b1a1cb7aec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:歯磨き粉 | 作成日時:2018年9月18日 22時

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