検索窓
今日:11 hit、昨日:6 hit、合計:27,021 hit

ろくじゅうに ページ13

No side


「…千輝?」


彼女の仮宿に静かに落ちた赤井の声。

30分経っても戻らなかったので様子を見に来たのだ。


音を立てることなく中に入り、一番近くのドアを開けた。そこには


「おい、しっかりしろ。」


床に横たわる探し人の姿。

介抱して顔を見てみれば、良いとは言えない顔色。


「ぅ…」


小さく唸った。

そのお陰で生きている事が確認できる。



寝室のベッドに彼女を寝かせた赤井は、ベランダでいつもの煙草を吸う。

外はもう街灯が消えている。


音のない早朝。

そこで耳に入ったのは微かなバイブ音のような何か。


部屋に戻れば、先程彼女が倒れていた辺りに落ちていたスマホ。

微かに揺れている。

拾い上げて画面に表示された名前を見てみると、日本の職場の上司の名前が。

出るべきか否か悩んだが、赤井は緑色の応答ボタンを押した。


「椎名!」

「…済まないな。彼女は寝ている。」

「は、…赤井!?アイツに何をした!?」


焦りきった降谷の声。

それとは逆に落ち着いた赤井の声。


「何もしないさ。それより、君に協力を頼みたい。降谷零くん。」

「協力?」

「君に打って付けの任務だ。」

「俺に…?」

「彼女の事を調べてほしい。」

「なんだと…?」

「人伝でもネットワークでも、或いはもっと他の方法でも構わない。彼女の情報を集めてくれ。」

「何故急にそんな」

「彼女は、Memoriesのボス、ケイト・クロスの双子の妹だったんだ。」

「は…!?」

「彼女自身も昨夜知ってな。」

「そうか、それで電話が…。」

「…頼めるか?」

「…あぁ。」

「話のわかる男でよかったよ。」

「言っておくが、お前の為じゃない。」

「そんなに必死になるのは、やはり」

「それ以上何か言ったら」

「あぁ、そうだ。彼女の事を調べるに当たって、一応教えておく。」

「…何を?」

「彼女の母親だ。」

「…それは、」


過去に報告されたカレン・クラウチ。

だが言いたいのは違う。


「君も知っている人物だし、接触も難しくない。」

「は?」

「…ベルモットだ。」

「…何を、」

「確証はないし、ある種の賭けだ。伸るか反るかは君次第だ。この手の話は君の方が上手。そうだろう、バーボン。」

「…」

「母親ではなかったとしても、恐らく多くの情報が手に入れられるはずだ。」

「…わかった。期間は?」

「近い内ならいつでも構わんよ。」

「そうか。…赤井、」

「なんだ。」

「…なんでもない。切るぞ。」

「あぁ。」

ろくじゅうさん→←ろくじゅういち



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (35 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
72人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (2023年5月5日 17時) (レス) @page43 id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
歯磨き粉(プロフ) - 月守ショコラさん» ありがとうございます!仲間ですねウヘヘ← (2018年10月12日 7時) (レス) id: 5927658f25 (このIDを非表示/違反報告)
月守ショコラ(プロフ) - オリキャラのやつ、私も拝見しています!これからもがんばってください! (2018年10月11日 21時) (レス) id: b1a1cb7aec (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:歯磨き粉 | 作成日時:2018年9月18日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。