私はある兄弟に正体を知られてしまった様で【地縛少年花子くん】

七不思議 捌拾伍話 ページ37

貴方side








司「.......普かぁ」





司は意外にも地獄耳で、たとえどんなに小さな声で話したとしても






きっと、彼は聞き逃さないだろう.......






貴「いや、あの.......」








額にじわじわと冷や汗が滲み出てくる









司「Aは昔っから“普”ばっかだよね.......」









司「ねぇ、なんで俺のものになってくれないの？Aの事ずーっと好きなのに.......」









後ろから抱きしめられているにも関わらず








少し力を込められると、すぐ苦しくなる









もはや、痛いぐらいだ









最初の優しい抱きしめ方は一体なんだったんだと言いたいところだったが.......









今はそんな状況ではなかった









貴「.......ｯ司が示す“好き”と普が示す“好き”は全然違うのよ、」






あっ.......ちょっと言い過ぎたかも.......








こんなこと言って、もし司が怒ったりなんかしたら






私の心と身体はきっと、その瞬間から司に無理やり彼一色だけに染められてしまうだろう.......









そう思うと








一気に頭から血の気が引いてくる









司「.......？一緒でしょ？俺も普も、Aを好きなことには変わりないしさ」









貴「.......え、.......あぁ、うぅん」









この時、心底、司が鈍感であってよかったと思えた瞬間だった.......

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