天使ちゃん ページ3
お弁当箱を開けるといい匂いが漂ってくる。
甘い匂い…いやそれは隣にいるまふゆちゃんの方からかもしれない。まふゆちゃん、本人の。
…なんかその言い方は気持ち悪いな。
まふゆちゃんはお弁当を忘れたらしく自販で買ったいちごミルクを
両手で持ちながらストローでちまちまと口に含んで、口に含んでを繰り返しているだけだ。
やっぱり天使だなあ。そんなことを考えるお昼の時間。
誰もいない屋上なので貸切状態の中まふゆちゃんと2人、沈黙が流れる。
そんな不思議と重くはない沈黙を破ったのはまふゆちゃんだった。
「…僕が居なくても寂しがらずに元気してた？」
「え、ぁ、うん」
「そっかあ。Aのことだから寂しがって泣いてるかと思った。」
「いや…暫くは寂しくて元気出なかったけど…」
「かわい〜、えどのくらい？」
可愛いのはそっちだよ、と言いたくなる気持ちを抑えて必死にまふゆちゃんに食らいつく。
「…か、かるーく1年くらい…」
「え、やば 長すぎない？もー僕のこと大好きじゃんー！」
「わっ、」
ギュ、とまふゆちゃんが思い切り飛びついてくる。
…こうしてみるとまふゆちゃんやっぱり大きいな。
腕も手のひらも全部変わってる。
全部、ちがう。
「まふゆちゃん、くるし…」
「それちょっとやだ まふゆちゃんって。…まふ、まふって呼んで。」
「わかった、まふ。」
満足そうな顔をして離れていくまふゆちゃん。
…まあ心の中でくらいまふゆちゃんでいいよね。
.
「え、誰あれまふまふの彼女？」
「へ？幼馴染ちゃんとちゃうかな？この学校にいるって言ってた気がする〜」
「幼馴染とはいえ同い年の異性だぞ？抱きつくか？え？まふまふもおかしいけど幼馴染ちゃんもやばくない？まふまふ狙われてんの？？」
「過保護すぎて引くわ。」
.
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作者名：結萌 | 作成日時：2021年8月22日 7時
