怖いやつ ページ6
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「A〜これ見ようや、！」
そういってだるちゃんは1枚のDVDを持ってきた。パッケージにはタイトルが書いてなくてなんのDVDかは分からない。
「なに？それ、」
「ん〜……怖いやつ？」
「ヤダ」
つい反射的に拒否ってしまう。
「なぁんでよ、……あ、もしかして怖いの無理な人？あ〜そりゃしゃーないわなぁ、そっかそっか、Aってビビリなんやぁ」
これ以上ないくらいにわかりやすい煽り。これに乗っちゃダメなんて分かってるけど、わかってるけど……
「怖くないけど？むしろだるちゃんの方が怖がってるんじゃない？」
なんて強がり。本当はホラーなんて無理だし絶対見たくないし見たら1人でトイレに行けないしねれない。
だるちゃんは嬉しそうににやぁと口角を上げてる。もしかして選択間違えた……？
「ふは、せやったら見よか。やってAはこんなん怖くないんやもんな」
──────────
「やだやだやだむりなんでそっち行くのやめなよほんとに」
「あ〜………」
ひたひた響く足音。全体的に真っ暗な通路。ゔぁ゛、なんて飛び出してくる気持ち悪いゾンビ。その全部がダメで気づいた時には目から涙をぽたぽた落としてだるちゃんに引っ付いていた。
「こわい、むりやめて………も〜やだ、」
「あぇ！？！？まってごめんやん、なかやんとってぇ………。」
そんな私をみてだるちゃんはこれでもか、って言うほど焦ってる。おろおろ、おろおろするだるちゃんにハグをして絶対に話さないようキツく抱きしめる。
「だるちゃんのばか、やだってA言ったじゃん………」
「ほんまにごめんやって………。なにしたら許してくれる？」
私の事を抱き締め返してきて、涙をふいて。それから慰めるかのように頭をポンポン撫でてくれる優しいだるちゃん。
「……………一緒に寝てくれたら、許すかも」
「ただただ俺が役得なだけやん。せやったらもう寝室行こか。………お手をどうぞ、プリンセス？」
「だるちゃんってたまにキザだよね」
だるちゃんが一緒に入ってくれた布団はぬくぬくでなんだか今日はいい夢が見られる気がした。
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作者名：翡翠 | 作成日時：2021年11月26日 1時
