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病院 ページ31

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「やだやだ、行かないもん」


「行かなあかんってぇ………」


「やだ」



今朝から彼女の顔は真っ赤で、なんだかふらふらしていた。……だから熱、測り?と聞いて脇に体温計を挟ませる。

ピピピと軽い音をたてて測り終わったことを知らせる体温計を見るとそこには37.7なんてそこそこの熱。流石にこれは、と思ってとりあえず仕事場に連絡してAをなんとか病院に連れていこうとしてるんやけど………



「びょういんやだ、きらい」



と、病院嫌いの彼女は頑なに拒む。
どうしよう、と悩んでる間にも彼女ははふはふ、と苦しそうに息を吐いて。



「どうしてもいやや?」


「やだもん、病院行かなくてもなおるし、」


「そっかぁ…………」



無理やり連れてくしかないかもなぁ、そう思い始めながらも嫌がってるし………んん……。



「俺は早くAに治って欲しいけどなぁ……苦しそうな姿見るんいややしぃ……」


「……………」



そういえば黙って少し悩むような様子を見せるA。



「だるちゃ、かなし?」


「おん、悲しいわ。」



俺が答えたあと、その可愛い口から紡がれたのは意外な言葉だった。



「………………病院いく、」


「え、ほんま?」


「ん、だるちゃんがいっしょならいいよ、」



舌っ足らずに言う彼女はほわほわしていて。



「じゃあ車乗ろっか。おいで、抱っこしたげる。」


「んへ………うれし、
あのねだるちゃん。風邪治ったらいっぱいちゅーして?」



そう言った彼女の顔は熱のせいか上気している上に目は潤んでいて、可愛かった。



……………熱下がったら覚悟しときや?

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作者名:翡翠 | 作成日時:2021年11月26日 1時

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