お風呂 ページ12
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「あのね、だるちゃん。今日一緒にお風呂入りませんか、」
Aの口からそんな爆弾が落とされたのがたった数時間前。何言うとるんなんて驚き半分、ほんまにええんか?なんて嬉しさも半分で話を聞くとどうやら職場の人から入浴剤を貰ったので使いたいらしかった。
「別にいいけど一緒じゃなくて良くない?」
でもそんなの理性がもたん、と頑張って断ろうとするも
「だるちゃんはAと入りたくない………?これお花開くらしいから一緒にみたいんだけど…」
とうるうるした瞳で見られてしまえばAに弱い俺は断れない。
…………そのせいでいま一緒に浴槽の中に入ってるんやけど、
「ん〜ふふ〜だるちゃんめっちゃいい匂いするね、」
狭い浴槽では2人ならんで入れないからとAが俺に乗るような体制。どこもふにふにでかわええ、なんて思いながらも理性を保つのに必死で。
「あ〜せやな」
って素っ気ない態度。
「だるちゃん入浴剤嫌い…………?楽しくなさそ……ごめん、無理やり誘ったから」
それは愛しの彼女すらも不安にさせてしまって。
「んな事ないってぇ………別に俺入浴剤自体別に好きやし!
ただ…………」
「ただ?」
もごもごと口をさせて何とか言い訳を考えても結局いい案なんて浮かんでこなかったから。
「A、色っぽいしかわいいから色々我慢してた。」
そう言ってこちらを振り向いたAの口にちぅ、と軽いリップ音を立てながらキスをした。
「………なに、それ…………」
しばらく黙っていたAが喋りだしたのを聞いて目を合わせようとする、そこにあった顔は入浴剤のバラにも負けないくらい真っ赤だった。
「ふは、真っ赤やなぁ………照れてくれたん?」
「ちがうし!のぼせただけだし!」
もうあがる!と照れ隠しで言いながら上がったAのあとをおいつつ、そういうところも好きやなぁと思うのだった。
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作者名:翡翠 | 作成日時:2021年11月26日 1時