好き、嫌い、好き Ⅲ (ページ34)

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あの日から、何かが俺の中で欠けた。

最後の仏頂面で無愛想だった雑誌も、いい売り上げだったらしい。
“らしさ”が出てる、なんて言われたりもした。

あれ以来、Aと関わる事はなかった。

本当に、終わってしまったんだ。

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亀「勇人、飲みいかん？いつもんとこ、」

亀さんの言ういつものところは、きっと健汰のところ。

せっかくの誘いだけれど、そういう気分にはなれない。

「すいません、亀さん」

亀「えー、行こうや。最近なんか元気ないし」

その言葉に返事をしないでいると、亀さんは俺の横に座った。

“Aちゃんのこと？”

亀さんはストレートな言葉で聞いてきた。
彼女の名前を聞くだけで、あの日の事を思い出す。

「‥健汰と約束したのにな、半端なことしないって」

亀さんは少しだけ考えて、息を吐いた。

亀「自分が中途半端なことしたって思っとるなら、最後までやり遂げたらええんちゃう？」

それがしたくてもできないんだ。

息が止まりそうになるくらい、胸が痛かった。

亀「まっ、今は目の前の事からコツコツ片づけていけよ」

まるで、俺のすべてが見えているかのように亀さんは的確なアドバイスをして、席を立った。

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