好き、嫌い、好き Ⅲ (ページ4)

今日:6 hit、昨日:24 hit、合計:239,517 hit

28-3 ページ4

.

亀「お待たせ」

仕事を終え、駐車場で待っていると

これまた高そうな車に乗った亀井さんが登場

全ての動作がスマートすぎて、

気づけばもう車内

.

亀「ごめんな、待たせた？」

『いえ、全然大丈夫です』

(やっぱり野球選手って凄いなあ、)
なんて思いながら、窓の外に目をやっていると

“Aちゃん”

と名前を呼ばれた。

.

『何ですか？』

亀「勇人のことどう思ってる？」

160キロのストレート投げ込まれた気分

白い歯を見せた亀井さんが、またそれは憎たらしくて。

もしかしたら、
私の聞き間違いなんじゃないかと思う。

『すみません、もう一回‥』

亀「勇人のことどう思ってる？」

ど真ん中ストライク

亀「変に繕って聞くのもねえー」

その言葉に、ちょっとくらいオブラートに包んでください、と思いつつ。

.

『‥どう、って言われても、』

亀「いやー、勇人もさ、そろそろ身を固めた方が良いんじゃないのかなーと思って」

『ああ、彩登美さんとかお似合いですよね』

モヤモヤしてるくせに

私、けっこう嘘つくことに抵抗ないのね。

亀「ふーん。Aちゃんはそう思うんや？」

言葉に詰まる。

.

亀「俺は、Aちゃんと勇人の方がお似合いやと思うけど」

亀井さんのその不意の言葉が

胸がズキズキするほど響いた。

わかってる。

わかってる、わかってるんだ。

.

『まだ怖いんですよ。好きって気持ちとか‥』

ババッ、と窓の外に映るマンションに

一斉に灯りがついた。

.