好き、嫌い、好き Ⅲ (ページ30)

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開けた扉の先に居た彼女は、相変わらずの眩しさだった。

あのアッシュグレージュのストレートヘアと、
甘いけど爽やかな香水の香り

仕事になると変わる雰囲気と、プライベートではとんちんかんでおっちょこちょいなとこ。

お酒に弱くて、男運ナシ

出会ったときと、何ら変わっていないのに

あの時より、彼女の存在にドキドキするのは

少なからず彼女は特別な存在であるということ。

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『どうぞ』

と微笑み、椅子を促される。

最後、終わり、結末

あー、どれをとってもヤな響き。

別に最初は、興味があるだけだった。

婚約指輪を忘れるくらいの女が、どんな奴なのか。

気付いたら、共に酒をのみ、ちょっと恋愛に口を挟んだりして(元カレとの現場は修羅場やったな)

そうや、最初俺のこと野球選手って知らんかったんや。
変な女やなあと思って、でもそこもええとこやんなって感じていた。

まさか、一緒に仕事をするとは。

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『始めて良い？』

「‥、ええよ」

考え事してるみたいだったから、と付け加えた彼女は、何ら気にした様子なく資料を手に取った。

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俺の気持ちなんか、Aには見えんし

言わな伝わらん。

だったら、それで良い。

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