好き、嫌い、好き Ⅲ (ページ20)

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スマートにお会計を済ましてしまった彼

もう、終わりの時間
あっという間

「すぐタクシー呼ぶ？それともちょっと歩く？」

彩「歩きたい、」

リカさんに別れを告げ、店を出る。

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心臓がバクバク言ってる。

大丈夫、今日はお気に入りのレースの服を着たし

お化粧だって、ちょっとお高いコスメを使った。

可愛いって思ってもらうために頑張ったの。

「冷えん？」

彩「うん、大丈夫」

もう、離れたくないの。

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私が歩く足を止めると、

彼も数歩歩いて、足を止めた。

振り返って、どした？って

彩「勇人くん、私ね」

野球をする貴方が大好き

でも、もし野球選手じゃなくなったとしても

きっと

愛しい存在なのは変わらないわ。

どんな時でも

真っ直ぐで、じぶんに厳しい貴方が。

彩「ごめんね。好きなの、まだ。もう一度、私とやり直してほしい」

彼はあんまり驚いた顔をしなかった。

でも、眉間にシワを寄せて厳しい顔をした。

どんな真意か分からないけど、

私のまっすぐな気持ちよ。

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彩「返事は急がなくていいから。でも、もし勇人くんが私とやり直してくれるなら、アメリカに行くのは辞退しようと思う」

彼ははじめて、えっ、と驚いた声をあげた。

彩「勘違いしないでね。私はそんなに良い女じゃないから、自分の事しか考えれてないの」

彼の顔を見れなくって

視線を落とした。

横目に見えてくるタクシーに、咄嗟に手を挙げた。

彩「‥じゃあ、返事待ってるね」

彼の返事も何も聞かず、

ひとりでタクシーに乗った。

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