好き、嫌い、好き Ⅲ (ページ2)

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腕を後ろに強く引かれた。

『わっ、』

驚いて振り返ると、そこには慎吾くんがいた。

『っどうしたの？』

慎「連載終わるってほんまですか。」

走ってきたのか、汗をかいている慎吾くんに、たまたま持っていたタオルを渡す。

笑顔で受け取った彼は、爽やかに汗をぬぐった。

それに見とれていると、彼はジッと私を見た。

慎「ほんまなんですか？」

『ぁ、うん』

なんでですか、と詰め寄ってきた。

慎「人気無かったですか？」

『そうじゃないの、』

少しだけ笑みがこぼれる。

人気がない？まさか。
売り上げアップしてるよ、逆に。

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『企画リーダーの部長が、会社辞めることになったの』

慎「えっ！」

また、目玉が飛び出そうなほど目を見開いた慎吾くん

『あ、いい意味でね。結婚するの、授かり婚』

今度は、なるほどと頷いた。

あまりに表情が豊かで、笑ってしまう。

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私も、最初結婚すると聞いたときは驚いた。
それに、子供もできただなんて。

そんな相手もいるなんて知らなかったのに。

企画の引き継ぎも提案されて、考えた。

部長もよかったら、と背中を押してくれた。

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でも、私にはそれができなかった。

ひとりで仕事ができるかどうか不安だったのもある。

そんなの、後付けの理由だって分かってる。
私情を挟んだ自分が情けない。

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慎「最後は、誰の取材なんですか？」

“やっぱりあの人ですか？笑”

「『サカモトハヤト』」

意地悪く笑った慎吾くんは、

何を考えていたんだろう。

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