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『ふぅ‥‥、』
やはり、ハイボールは私にはまだまだ厳しいらしい。
会話は盛り上がっていたものの、酔いが回ってきて席を立った。
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柵に体を預け、一休みする。
夜風が涼しくて、熱い体が少しずつ冷めていく。
「‥A、大丈夫か？」
ふいに聞こえた声に、勇人だと分かっても驚いて振り返る。
『、大丈夫。ちょっと酔っちゃって』
仕事なのに。
こんな姿見られるとは、恥ずかしい。
私の横に、同じように柵に凭れた。
『ごめんね、部長いつもはあんな感じじゃないんだけど』
「打ち合わせと違いすぎてビックリした」
ははっ、と笑ったその横顔は
試合の時の真剣な表情とギャップがあって
少しだけ、ドキッとした。
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夜風が強くなって、髪が揺れた。
視線をずらした勇人と目が合った。
細いけど、筋肉質な左手が
私の髪に触れた。
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『‥、』
絡んだ視線に
なんの言葉もでなかった。
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「っ、塵、ついてたから」
視線を泳がせた勇人は、髪から手を離し言った。
『そっか、』
「そろそろお開きにしよか、」
『‥そうだね』
「先戻ってる」
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彼が見えなくなったのを確認して、小さく深呼吸をした。
何勘違いしてんの、私
意味もなく勇人が髪触ってくる訳ないじゃんか
一回の深呼吸じゃ落ち着かなくて、何度も何度も深く息を吸った。
握りしめた手を、ゆっくり胸に当てた。
(まだ、ドキドキしてる)
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作者名：理彩 | 作成日時：2018年8月2日 22時
