好き、嫌い、好き Ⅱ (ページ47)

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思いの外、早く球場に着いた。

出版ギリギリまで取材を続け、夜遅くまで記事作りに残業するのが当たり前になっていた。

『‥‥眠い、』

欠伸をすると、後ろから声をかけられた。

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彩「おはよう、桜庭さん」

『おはようございます、』

結局、彩登美さんが何のためにこの球場にいるのかは知らないけど

この笑顔を見たらそんなこと、聞けなくなってしまう。

彩「やっぱりすごくお洒落さん！わ、この匂い今有名なシャンプーだよねえ？」

『今度記事にするので、試供品いただいて使ってるんですよ』

彩「へえー、すっごくいい匂い！買ってみよーっと。今日も取材？勇人ならさっき向こうで見かけたよ」

『ありがとうございます、』

彩登美さんだってお洒落だし、いい匂いするじゃない。

そう思ってしまう自分が、嫌だった。

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『おはよう、』

「‥あぁ、おはよ」

彼も大きく欠伸をした。

『眠たそうだね』

「昨日遅くまで飲みすぎた」

すると奥から、これまた大きな欠伸をした慎吾くんがやってきた。

慎「Aさんおはようございます、」

『おはようございます』

慎「勇人さん昨日はありがとうございました。」

「おう」

ぶっきらぼうに返した勇人の横に座った慎吾くん

慎「びっくりしましたけど、さすが勇人さんって感じでしたよ」

「何が？」

慎「昨日の飲み会来てた彩登美さんですよ。めっちゃ綺麗で、お似合いでしたー」

「あんなぁ、おまえ、」

“元カノって知っとって、言うとるやろ”

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昨日の飲み会には、彩登美さんもいたんだ。

ああ、もうっ、

やだ。なんでこんなに気にしてんだろ。

「‥‥、慎吾、さっき亀さん呼んでた」

慎「ほんまですか？行ってきます、じゃあAさん、後ほど！」

『うん、よろしくお願いします』

慎吾くんが居なくなったこの部屋は、

私と勇人のふたりきりだった。

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