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あの日
それ以上の言葉を交わすことはなかった。
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菅「勇人さん、最近桜庭さんとどうなんですか？」
勝ちでおさめた試合終わり、智之が声をかけてきた。
仕事で、何度か顔を合わせたりした。
それでも、互いに気まずくて声をかけることはなかった。
「別に、なんもない」
すると、智之は顔を曇らせた。
菅「俺、やっぱり余計なことしました？」
「余計なことって？」
罰が悪そうに、唇をねじる。
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菅「桜庭さんに、彩登美さんのこと、」
「別に、」
智之に対して怒ったわけではない。
冷たい言い方になってしまったけど、それは自分に対しての情けなさがあるからだと思う。
「ただの仕事仲間やし、聞かれて困ることじゃないわ」
ほんまに、そう思っとる？
自問自答する。
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菅「‥そうっすか」
彩登美と別れて、どれくらいになるっけ。
遊びが激しかった時期もある。
一番だった野球を、二の次にしそうだった日もある。
でも、貫き通した事だってある。
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「お前は彼女いないの？」
菅「いないっすよ、今は野球が一番なんで。私生活もひとりでどうにかなってますし。まあ僕は、勇人さんは早く身を固めた方がいいと思いますよ？」
くどいくらい言われてきた言葉だ。
「そうかなー」
菅「勇人さんのタイプとは少し違いますけど、イイ人いるじゃないですか？笑」
「何だかなー‥」
曖昧に濁した言葉は、
曖昧な感情と相まって
俺の弱さを際立たせた。
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作者名：理彩 | 作成日時：2018年8月2日 22時
