好き、嫌い、好き Ⅱ (ページ15)

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「へー、じゃあ勇人たちの取材の人？」

中心にできた選手の輪から、そんな声が聞こえて
視線が集まった。

こんなにもオーラがある人たちから見つめられる事無いから、気が引ける。

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勇人の様子を見ていて分かったことがあった。

練習は終始、和やかな感じだったけど

コーチの人や先輩とお話するときは、一瞬で真剣な顔になるし

後輩らしき人たちが勇人に話しかけたら、何か一生懸命教えてあげてる。

野球にまっすぐな人。

何より、彼がいつもたくさんの人に囲まれている。
周りの人たちより、一目置かれてる存在なのは見てわかる

けど、人を寄せ集める何かを確かに持っていて
だからこそ、彼に人はついていくんだと思った。

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「A、知り合いの記者の方とお話してくるからここで見学続けてて」

『はい』

部長がいなくなって、練習を終えたのか勇人が近づいてきた。

「おはよ。今日の試合観るの？」

『おはよう。観るよ、チケット頂いたの』

汗だくの彼は、どことなく疲れがたまっているようにみえた。

長いシーズン、どれほどの体力を消耗するのか分からない。
プレッシャーから、体力的な疲れだけじゃなく精神的な疲れもあることだろう。

「試合終わったら、ロッカー来て」

『え？』

「負けたら来なくていいから」

タオルで汗を拭った彼は、私に有無を言わさず

この場を去った。

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