好き、嫌い、好き Ⅱ (ページ11)

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「家近くなんで一緒に帰ります、」

その言葉を発することに、躊躇いは無かった。

彼女は言っただけでは聞かないと思ったから、その腕を強く掴んだ。

誠司と智之の“本当にただの友達ですか？”みたいな視線
亀さんの諦めたような微笑みと、慎吾の悪事を企てているような笑み

(深い意味なんてない、)

そう言い聞かせて、4人の視線を一蹴する。

「そうですか。では、うちの後輩をよろしくお願いいたします」

ぺこっ、と梶原さんが俺に頭を下げた。

笑顔の梶原さんと違って、Aは困ったような戸惑ってるようなよく分からん表情をしてた。

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「行くぞ」

こんなんもう乗ったもん勝ちや、
そう思って一番にタクシーに乗った。

すみません、と何度もAが頭を下げていた。

(そんなに俺と乗るの嫌なんか)
なぜか、イライラしとって

亀「しょうがないね」

諦めたように大人な対応をした亀さんと

余裕の無い俺は対照的だった。

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「駅方面に」

Aがシートベルトをしたのを確認して、行き先を告げた。

何を話そう。

焦っていたと言われれば、そうでもない。

余裕がなかったのは事実やけど、その原因はわからん。

そんな自分にイライラして、窓の外に視線を向けた。

結局、帰るまで気持ちはリセットできず

Aのマンションまで着いてしまった。

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