14-2 ページ44
.
「俺が野球選手だったからって、謝る必要どこにあんの」
つい冷たい口調になって
そういうつもりじゃなかったのに、誤解させてしまう。
“野球選手”
その固定観念で近づいてくる人は多かった。
離れていく人も多かった。
シーズン中、恋人らしいことなんか出来んし
きっと、結婚すれば苦しい事ばかりが目につくだろう。
それをカバーできるほど、俺は大人やないし。
だから、彼女との関係は楽だった。
気付いてしまえば、彼女は以前のように接してくれないかもしれない。
お気に入りだったこのバーも、来れなくなるかもしれへん。
.
「野球選手なんか肩書き。それ以前に、ひとりの男やし人間なんやけど」
あー。
こう言うところがダメなんやろな。
慎吾みたいなトーク術があれば。
亀さんみたいに余裕があれば。
気付けば酒のペースが上がってて、グラスは空になろうとしていた。
.
『ごめんなさい、怒らせて。』
謝られるほど、俺態度に出とったんか。
(良い年にもなって恥ずかし、)
『その、何て言ったら良いか分からないんだけど。私は、貴方とお酒を飲んで、話してるだけで楽しかった。』
『だから、“野球選手”ってことはとりあえず置いといて、‥‥あー、もう語彙力無さすぎ私』
サラサラな髪をクシャクシャした彼女は、椅子を回転させて俺を正面に捉えた。
.
俺を正面に捉えたものの、言葉が出てこない彼女は、視線を泳がせた。
健「別に勇人さんが野球選手だろうがなかろうが、Aは変わんないって事が言いたいんだろ」
その言葉に驚いたけれども的を得た回答に、彼女は大きく頷いた。
『言っても信じてもらえないかもしれないけど、こんな私を勇人は助けようとしてくれたから』
それはきっと初めて。
「‥‥初めて勇人って呼んだ」
ふいに、笑みが溢れてしまう。
Aの少し照れて恥ずかしそうな顔と
やっぱり変なやつって言うのと
Aなら信じてもええかなっていう期待と。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 544人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「プロ野球」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
理彩(プロフ) - ゆゆ。さん» ありがとうございます。どハマりしちゃってください！笑頑張ります！ (2018年8月2日 20時) (
レス) id: 7805605240 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ。(プロフ) - この作品大好きです！もうどハマりしちゃってます♪更新頑張ってください！ (2018年8月2日 13時) (レス) id: 3e6ff657de (このIDを非表示/違反報告)
千南 - 理彩さん» これからも応援してます! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 44f061dcc9 (このIDを非表示/違反報告)
理彩(プロフ) - Satomigさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです。長編になると思います笑 (2018年7月21日 9時) (レス) id: 7805605240 (このIDを非表示/違反報告)
Satomig - こんばんは！ 更新されるのが楽しみで仕方ないです！笑 話が現実味があって読んでいてとっても楽しいです！ 長編希望です！ (2018年7月21日 0時) (レス) id: c98854b979 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：理彩 | 作成日時：2018年7月16日 18時
