記憶に残す ページ44
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Aがシャワーに行っている間、誠也が声をかけてきた。
誠「なんか、さっきの泣いてるA見て思い出したんだけど。」
そう言って、誠也は言葉を続けた。
誠「いつだったか忘れたけど、Aがスタッフさんに、“桃瀬って、いつも幸せそうだよな”って、言われたことがあって。」
誠「その時さ、あいつ、‥‥今にも泣き出しそうな顔してるくせに、」
“幸せですよ”
誠「そう言って、笑ったんだ」
その姿が想像できて、何も言えへんかった。
そんな俺の姿を見て誠也は少しだけ表情を和らげた。
誠「それ見たとき俺も凄い不安だったよ。大丈夫なのかな、こいつ、って。でも、‥‥ちゃんと泣いてるとこ見て安心した。」
“お前しかできねーよ”って
笑った誠也は、お疲れとだけ伝えてロッカーを出た。
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『はあー、サッパリしたぁ』
シャワーから出てきたAは、濡れた髪をタオルで乾かしながらロッカーに戻ってきた。
「なぁ、A。準備できたら、ちょっと歩かん？今日、星よく見えるから」
俺の言葉に、少し不思議そうに首を傾けながらも、“うん”と頷いた。
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『わ、ホントだ。綺麗』
外に出て、少しだけ涼しい夜風に吹かれながら
隣に居る彼女は上を向いたまま、ゆっくり足を進めた。
『何かね、大人になってまで何やってるんだろうって思ってた。』
Aは、何かが吹っ切れたのか、好きな星のもとなら素直になれるのか
その横顔は、切なく揺れる瞳で溢れていた。
『これしないと試合には出せない、出来ないなら必要ない。どうしたら良いか分からなくて、追い詰められて。泣いても泣いても不安は消えなくて、気付いたら自分のこと客観的にしか見れなかった。』
『そしたら、もっと苦しかった。』
目を伏せた彼女は、言葉を続けた。
『時々思ってたの。‥試合に出たいなら、相手選手を潰せ、って言われたら。私、どうしてたのかなって』
こんなにAが本音で話したことあったかな。
大きく息を吸ったAは、顔をあげた。
『でもホームラン打ててスッキリした！‥思い残すことないもん、』
俺の顔を覗きこんだ
どうしたの？って顔
有無を言わせない顔
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「星が綺麗ですね」
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『そうですね』
悪戯っぽく微笑んだ
分かってるのか、
分かってへんのか
俺には分からんかった。
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理彩(プロフ) - 花蓮@carploveさん» ありがとうございます。伝わってよかったです(*^^*) (2018年7月14日 21時) (
レス) id: 7805605240 (このIDを非表示/違反報告)
花蓮@carplove(プロフ) - 連載お疲れ様でした！夢主ちゃんのやりきれない焦燥感や焦りの描写がすごくて…ついつい感情移入して泣きそうになることも度々ありました…新作も楽しみにしてます！ (2018年7月14日 20時) (レス) id: 9ae88586f0 (このIDを非表示/違反報告)
ファンタオレンジ(プロフ) - 途中で、ピースサインの歌詞入ってて、びっくりしました！！笑笑 (2018年6月29日 17時) (レス) id: 50dccbc662 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：理彩 | 作成日時：2018年6月24日 17時
